【中小企業の銀行対策】月中の資金ショートに気をつけなければならない理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、月中の資金ショートに気をつけなければならない理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点。
1 キャッシュのボトムが月末だとは限らない
2 日繰り資金繰り表を作成する
どうぞ、ご一読下さい。
1 キャッシュのボトムが月末だとは限らない
通常、資金繰り表を作成する際の「月末資金有高」は、文字通り、「月末の現預金の残高」で、「月末資金有高」がそのまま翌月の「月初資金有高」に飛んでいきます。
金融機関に提出する資金繰り表は、あくまで「月末ベース」です。
ところが、多くの会社に於いて、キャッシュのボトム(底)が月末に限らないケースがほとんどです。
例えば、給与資金の場合、労基法では、給与は締日から30日以内に支払うことを定めていますが、給与について、月末締め切り、翌月月末支払としているケースはむしろ稀です。
特に、歴史の長い会社の場合、設立当初は従業員数も少なかったことから、給与計算にそれほど時間が掛からなかったことや、経営者が従業員を慮って「なるべく給料を早く払ってあげたい」という配慮から、月末締め切り、翌月10日払や、15日締め切り、当月25日払いというケースが多いように見受けられます。
他方、お客様からの売掛金の入金は25日や月末に集中する傾向が強いですが、多くの金融機関で、総振、給振の資金を前営業日までに決済口座に用意する必要があるので、月末の支払に、月末入金の資金は事実上充当できません。
このようなことから、月末はむしろキャッシュのボトムではなく、むしろピークに当たるケースが多く、通常の資金繰り表だと月中に資金がショートするようなことがあっても、月末ベースでは、キャッシュが回るように見えてしまうのです。
2 日繰り資金繰り表を作成する
それでは、月中の資金の流れを把握するためには、どうすべきなのでしょうか?
理想的には、「日繰り資金繰り表」を作成することです。
通常の資金繰り表は月次ベースですが、日次ベースで資金繰り表を作ることが効果的です。
もちろん、作業としては、少々面倒で、時間もかかりますが、弊所でも、お客様の状況を見て、必要に応じて日次資金繰り表を作成しています。
20日に材料費や外注費、経費を総合振込で出金していくらキャッシュが残るのか、25日の給与資金決済後の現預金残高はいくらになるのかを把握することができます。
リース料や口座振替の経費は引き落とし日、金額ともに同一であるため、固定的な経費出金は簡単にわかります。
「日繰り資金繰り表」の作成が大変であれば、「明日の残高」=「昨日の残高」+「昨日の入金」ー「昨日の出金」を当座預金の取引照合表のような形で落とし込んで、「お小遣い帳」のように日次の残高管理をするのも一考です。
ネットバンキングを使って、月初からの入金、出金の動きをCSVに落として、「明日の残高」=「昨日の残高」+「昨日の入金」ー「昨日の出金」をエクセルの演算式に入れ込んでしまえば、お小遣い帳の出来上がりです。
中小企業経営者は、経理部門を「収益を産まない間接部門」と軽視することなく、重要な経営の中枢部門として位置付けて、会社の大切な資金を無駄なく管理していくことが重要なのです。