【中小企業の収益改善策】諸経費削減よりも原価低減の方がより効果的である理由とは?

今日は、中小企業の収益改善策として、諸経費削減よりも原価低減の方がより効果的である理由について考えます。

今日の論点は以下の2点。

1 販管費の削減はモチベーションを下げる
2 原価低減効果の一部を従業員に還元する

どうぞ、ご一読下さい。

1 販管費の削減はモチベーションを下げる

製造業や建設業の場合、コストは製造原価と販管費に分類されます。
飲食業の場合、通常売上原価は原材料仕入のみを計上しますが、収益管理上では、仕入(Food)と人件費(Labor)をF Lとして事実上の原価としてみなします。

製造業、建設業の場合、製造原価と販管費とを比較すると、圧倒的に製造原価の方が金額が大きくなるのが通常です。
他方、販管費を削減しようとすると、経営者は、従業員に向けて、「経費削減を徹底しよう!」と音頭を取りますが、製造原価よりも金額の小さな販管費を削減したところで、収益改善効果は実に限定的です。
収益改善効果が限界的な販管費削減に取り組もうとしても、経費削減の号令をかけられた従業員は皆、ひきます。
「あ〜あ、経費削減ばっかりでケチくさい。やってられへんな」というのが従業員の本音です。
実際、事務用消耗品の購入を地元の文房具屋さんからオンライン通販に切り替えたところで、経費削減の金額は数千円がいいところです。

もちろん、経費削減をやらなければ良いというわけではなく、たとえ、数千円ずつであっても、ちりも積もれば山となるではないけれど、乾いた雑巾を更に絞るような取り組みが必要なことは確かです。

これに対して、原価低減の効果はもっともっとパワフルです。
年商3億円で、1%の原価低減を実現できれば、収益改善効果は実に年間3百万円に達します。
従業員にケチくさいと思われてしまう諸経費削減よりも、原価低減に取り組む方が圧倒的に収益改善効果が大きいのです。

【中小企業の収益改善策】諸経費削減よりも原価低減の方がより効果的である理由とは?

2 原価低減効果の一部を従業員に還元する

中小製造業の粗利益率、中小建設業の工事粗利益率、飲食業の売上高対FL率を改善するには、日々の弛まぬ努力の積み重ねが必要です。
息の長い永遠の経営課題と言っても良いくらいの経営者に課された課題です。

更に、コロナ禍以降、深刻なのが人手不足です。
中小製造業でも、中小建設業でも、素人さんが今日来てもらって明日から即戦力になってもらえるわけではありません。
採用難を嘆くよりも、既存の大切な従業員が離職しないことも重要な経営課題です。

大切な従業員が働き続けてもらうためには、諸経費削減の号令をかけるようなムチだけでは不十分です。
諸経費削減の効果からすると、そこから従業員に還元できるような原資となるには力不足です。

他方、原価低減効果は金額換算すると大きな金額になるので、その一部を従業員に還元することができます。
原価低減から得られた粗利益(売上総利益)の一部を、賞与や社員旅行といった福利厚生で従業員に報いることも可能です。
原価低減効果を会社だけが独占していたのでは、従業員の士気は一向に上がらないのです。
人手不足のこのご時世であるので、メインバンクも、原価低減効果の一部を従業員に還元することに異を唱えることもそうそうありません。

中小企業経営者は、原価低減に弛まぬ経営努力を惜しまないことに加えて、原価低減がもたらす果実を従業員に少しでも還元することで、従業員のモチベーションをあげ、会社の持続可能性を高めていく必要があるのです。


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