【中小企業の銀行対策】季節資金をタイムリーに調達することが経営者の役割である理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、資金繰り表に季節変動要因を的確に反映させなければならない理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 季節変動要因は業種、業態によって様々である
2 季節資金をタイムリーに調達するのは経営者の大きな役割である
どうぞ、ご一読下さい。
1 季節変動要因は業種、業態によって様々である
新しい週がスタートして、一気に寒さが増しました。
師走近しと実感させてくれる陽気に、ようやくなってきました。
師走といえば、多くの中小企業で資金需要が高まる季節です。
製造業の場合、原材料を先に仕入れなければならない上、製造が完了するまでのリードタイムが長いケースが少なくないため、原材料支払が先行して、立替資金が必要となります。
建設業も、年度末に向けて公共工事が本格的に動き出すと、材料と外注費が先払いとなります。
建設業の場合、会社の規模の割に、動くおカネが大きいので、立替の金額も多額に上ります。
資金繰り上、季節変動が大きく影響を与える業種として、飲食業も外せません。
クレジットカードや電子マネーの利用が多くなっているものの、即日現金入金があることから、年末の繁忙期にはキャッシュリッチとなりますが、年が明けて、成人の日が終わってしまうと一気に閑散期に突入して現金入金が大幅に減少します。
一方で、年明け1月には、繁忙期の年末に仕入れた買掛金の支払いがドバッとやってきます。
また、12月度に膨らんだ人件費の支払も待ったなしです。
もちろん、12月にキャッシュリッチとなった分が1月に残っているはずなのですが、実際には1月末には、キャッシュがギリギリというケースが散見されます。
このように、業種、業態によって、季節変動による業況のアップダウンと資金繰りは様々なので、経営者は改めて、自社の季節変動要因とそれに伴う資金繰りについて理解を深める必要があります。
2 季節資金をタイムリーに調達するのは経営者の大きな役割である
経営者は、自社の資金繰り特性を把握した上で、会社が必要とする資金をタイムリーに調達しなければなりません。
上場企業の株主総会の議長を社長自ら務めることも、会社として資金の出し手を重要視している証左でもあります。
特に、中小企業の場合、資金調達は経営者の最大の役割と言っても、過言ではないのです。
季節資金の場合は、特に、金融機関に資金を要請する際に重要となるのが、資金繰り表です。
借入金は、補助金や助成金ではないので、借りたものはきっちりと返さなければなりません。
このため、資金調達の後には、一括返済、長期約定返済であるかにかかわらず、返済も含めて資金が回ることを資金繰り表で表現することが必須です。
中小企業の資金調達には、資金繰り表は必須のアイテムです。
経営者の中で、「資金繰り表なんて作ったことはない」と言う方がいれば、それは心あるメインバンクの担当者が試算表や今までの経験則を踏まえて、資金繰り表をひっそりと作成してくれていて、稟議書に添付していることは間違いないのです。
向こう1年先までの資金繰り表の作成には、恣意的な数値の入力を避けるためにも、ルールを決めて、そのルールに則った形で資金繰り表を作成することが鉄則です。
資金繰り表の作成は、最初、難しいことに思えますが、基本、足し算、引き算、掛け算、割り算の簡単な算数の組み合わせなので、コツを掴めば、案外簡単に作ることができます。
中小企業経営者は、より精緻な資金繰り表を作成することで、調達すべき借入金額を明確にして、メインバンクを始めとした取引金融機関に、より早いタイミングで、資金の要請を行なっていく必要があるのです。