【中小企業経営者の心得】永遠にお正月休みになってしまう取引先に注意が必要な理由とは?

今日は、中小企業経営者の心得として、永遠にお正月休みになってしまう取引先に注意が必要な理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。

1 年末年始は倒産の絶好のタイミングである
2 貸倒損失は極力回避すべきである

どうぞ、ご一読下さい。

1 年末年始は倒産の絶好のタイミングである

2024年も残りわずか。
多くの会社や役所が今日、仕事納め、御用納を迎えます。
曜日の並びから、明日から9連休というロングバケーションとなります。
早ければ、今夜の夜行便で出国するという方も少なからずいらっしゃいます。

そんな長いお正月休みですが、年末年始は、会社を破産手続きに移行する絶好のチャンスでもあります。
そもそも、破産手続きに移行する際は、Xデーを決めて、Xデーに向けて破産手続きの準備に入ります。
破産手続きを選択する経営者は、代理人の弁護士先生と入念に打ち合わせを繰り返して、満を持してXデーを迎えるという形です。

当たり前ですが、破産手続きの準備中に、破産手続きを進めつつあることを外部に察知されては破産手続きに支障が出ます。
取引先等社外に秘匿することは当然ですが、従業員など社内に漏れることも許されません。

このため、取引先、金融機関、従業員が休業する年末年始は、破産手続きを進める絶好のチャンスなのです。
実際、破産手続きに入る旨の通知が会社の玄関に貼り付けられてあっても、遠目には、会社のお正月休みを告知する張り紙にしか見えません。

仕入先や外注先は、年始が明けて、初日の営業日に、代理人弁護士先生からのファックスや郵便物を目の当たりにして、初めて、得意先の会社が倒産する事実を把握して、「あちゃー、やられた!」と売掛金が事実上焦げ付いてしまう現実に直面するというわけです。
仕入先や外注先からすれば、とんだお年玉で、たまったものではありません。
従業員も出社してみたら、会社の玄関に破産手続きに入る旨の通知が貼り付けてあって、失業した現実に直面します。
企業間物価が上昇する中で、収益が悪化している中小企業は少なくありません。
考えたくもありませんが、永遠にお正月休みとなってしまう中小企業がが出ないことを祈らずにはいられません。

【中小企業経営者の心得】永遠にお正月休みになってしまう取引先に注意が必要な理由とは?

2 貸倒損失は極力回避すべきである

我が国の商取引の慣行として、特徴的なものの一つが、「信用取引」です。
小売業や飲食業といったB to Cの商いを除けば、基本、「掛」の取引です。
「掛」の取引は性善説に立つもので、アングロサクソンの国々では考えられない商慣習と言えるかもしれません。

他方、「掛」取引である以上、相手の支払いが滞ったり、相手が倒産してしまうと、貸倒損失が発生します。
よほどの取引事情がない限り、保証金や担保を提供してもらうというのは非現実的です。
一方で、貸倒損失の発生は資金繰りの圧迫要因となることは間違いありません。
本来回収できるはずの売掛金が焦げ付くわけなので、会社としては大きな損失です。
また、売り先だけではなく、仕入先や外注先の倒産も大きな損失です。
仕入先が倒産すれば、原材料の仕入に支障が出たり、外注先に原材料を支給していれば、支給材の回収が難しくなったり、取り掛かっている現場が放置される懸念も拭えません。

このため、与信管理の重要性がクローズアップされるわけで、例えば、新規取引であれば、キャッシュオンを基本としたり、取引先毎に与信限度額を設定して、与信額を抑制するなどの与信管理の手法がありますが、だからと言って、与信管理をガチガチにやっても、貸倒損失をゼロにすることは現実的には不可能です。

こうしたことから、特に、営業部門では、長年勤めていた経理担当者が退職したり、支払日が遅延するといった兆候を営業担当者が常日頃から察知することを習慣付けて、与信管理の会社としてのルールを決める必要がありそうです。

中小企業経営者は、お正月休みを日頃から溜まっている疲れやストレスから解放するチャンスとしつつも、自社の与信管理のあるべき姿に想いを巡らす必要があるのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい

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