【中小企業の銀行対策】中小企業経営者が知っておくべき最近の金融機関のトレンドとは?
今日は、中小企業の銀行対策として、中小企業経営者が知っておくべき最近の金融機関のトレンドについて考えます。
今日の論点は以下の2点です。
1 最近の金融機関はコストカットに余念がない
2 金融機関も人手不足である
どうぞ、ご一読下さい。
1 最近の金融機関はコストカットに余念がない
非上場オーナー経営の中小企業にとっては、取引金融機関は資金調達の要で、重要なステークホルダーです。
重要なステークホルダーである金融機関の最近のトレンドについて、中小企業経営者は知っておくべきなので、今日は、あくまでも一般論ですが、最近の金融機関のトレンドについて掘り下げていきます。
メガバンクから地域金融機関に至るまで、最近の金融機関は明らかに営業店の統廃合を進めています。
と言っても、A支店とB支店を統合して、C支店を作ってしまうと、支店名、口座番号が変わってしまって、お客様からの振込入金に支障が出てしまいます。
このため、最近の金融機関は、一つ屋根の下で、A支店とB支店が同居する形式で、事実上の店舗の統廃合に取り組んでいます。
一つ屋根の下で、A支店とB支店が同居する形式を、「店舗内店舗」を呼んでいます。
一つ屋根の下で、A支店とB支店が同居すると言っても、別に壁やパーテーションで仕切られているわけではなく、統合前のA支店とB支店を合わせた人員の2/3程度の人数で、業務を行っていて、相当程度の合理化効果が出ていることが予想されます。
実際、金融機関の営業店1店舗を運営するには、莫大な経費がかかります。
支店長、次席(次長、もしくは副支店長)がいて、各係の役席者や各課の課長がいて、その下に多くのスタッフが動いているので、その人件費総額は相当なものとなります。
金融機関としてのセキュリティを担保するために、厳重な警備システムを稼働させたりする他、水道光熱費だって馬鹿になりません。
支店長車や外回りの渉外係や営業課員が使用する業務用車も相当な台数です。
このように、店舗内店舗方式による事実上の営業店の統合は、金融機関にとって、大きな固定費削減になることは間違いありません。
店舗内店舗に関して、融資先である中小企業にとってみればどのような影響があるでしょうか?
多くの場合、店舗内店舗による事実上の営業店統合によって、融資先である中小企業にとっては、取引営業店までの物理的距離はより遠くなってしまいます。
トータル的に言えば、外回りの渉外係や営業課員の総人数は減少してしまうので、もしかすると、担当者が会社を訪問するケースでは、訪問頻度が落ちてしまう恐れがあります。
担当者の訪問頻度が下がってしまうと、コミュニケーションを取るチャンスが減ってしまう可能性があるので、逆に、経営者が担当者を営業店に訪ねるようにしたり、Zoomを活用したり、メールで試算表や資金繰り表をタイムリーに提出するような対策が必要になりそうです。
このように、店舗内店舗が広がれば広がるほど、融資先である中小企業にとっては、デメリットの方が多そうです

2 金融機関も人手不足である
最近の金融機関の傾向として、一般論ですが、市場金利の上昇によって、融資の適用レートが自動的に引き上げられるようになって、金融機関の収益環境は上向いています。
一方、世の中、どの業種、業態でも、人手不足です。
金融機関のその例に漏れず、人手不足が深刻です。
特に、金融機関の場合、バブル入行組が相次いで役職定年(55歳になって役員級になっていない役職員が役職を外されて、事務センター等スタッフ部門や出向に出ること、因みに役員級になれる人はごく一握りの人です)を迎えて、営業店では、人手不足が深刻です。
中でも、難しい融資先を管理する融資係や融資課ではノウハウの継承が不十分で、北出が直面する中でも、(この人、ホンマにわかってんのかな)と不安になることさえなきにしもあらずです。
このような人手不足へ対応するためにも、営業店を事実上統廃合する「店舗内店舗」が増えている背景にもなっています。
中小企業経営者からすれば、企業間物価高や人手不足によって厳しい外部要因に晒され悩みの多い毎日で、一見すると「銀行員はええなあ」と思えてしまうかもしれませんが、金融機関の役職員も決して安泰ではありません。
中小企業経営者は、切っても切れない金融機関との縁を大切にしながら、金融機関のトレンドをしっかり知っておくことが、金融機関とうまく付き合っていくために必要なのです。