【中小企業の銀行対策】自己基金で資金繰りを回すことを資金繰りの基本とすべき理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、自己資金で資金繰りを回すことを資金繰りの基本とすべき理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 月次の資金繰りは凹凸がある
2 経常利益と減価償却費が長期借入金の返済原始となる

どうぞ、ご一読下さい。

1 月次の資金繰りは凹凸がある

中小企業経営者の方から、「試算表上では利益が出ているのになかなかキャッシュが増えない」という声が聞かれます。
試算表は、発生ベースの損益で基本的に計上するので、試算表上で利益が出ているからと言っても、キャッシュが増える保証は何もありません。

例えば、営業担当者が、商品やサービスを売りっぱなしにして、売掛金の回収を怠っているようでは、売掛金がいつまでも計上されたままとなって、キャッシュに振り替わることはありません。
また、建設業であれば、契約時に40%の前受金を受領しても、残りの60%の工事代金が完工、検査後に入金となれば、工期の後半には、原材料費、外注費や現場経費などの支払が先行してしまうため、キャッシュは急激に減少してしまいます。

試算表上で利益が出ている一方で、おカネが増えない、あるいは足りないというのは、それなりに理由があります。
営業担当者がお客様の顔色を伺って、集金を躊躇しているようであれば、営業担当者のケツを蹴ってでも集金にお客様を訪問させなければなりません。
工事代金の受領が完工後に偏っていて、原材料費、外注費等の支払が先行するようであれば、資金繰り表と工事明細を緻密に作成して、メインバンクに提出して工事見合いの引当融資をお願いする必要があります。

資金繰りは、業種、業態によって特徴がありますが、足らない分を金融機関から借入金で埋め合わせをしていると、借入過多になって、リスケジュールの予備分となってしまいます。
大切なことは、トータルで入金で支払を賄えるようにすることが中小企業の資金繰りの基本中の基本なのです。

【中小企業の銀行対策】自己基金で資金繰りを回すことを資金繰りの基本とすべき理由とは?

2 経常利益と減価償却費が長期借入金の返済原始となる

それでは、おカネがトータルで増やしていくために必要なことはどのようなことでしょうか?
ここで取り上げたいPL上の指標が簡易CF(キャッシュフロー)です。
簡易CFは元本返済原資となるもので、下記の計算式で計算されます。
「簡易CF」=「経常利益」+「減価償却費」ー「法人税等」です。
月次で凹凸はありますが、経常損益がプラスマイナス0円で、無借金経営であれば、減価償却費相当分のキャッシュが増加することになります。
仮に年間元本返済額が10,000千円(月額833千円)で、減価償却費が5,000千円、法人税等が1,000千円であれば、年間で返済を約定通り行なった場合、必要となる経常利益は6,000千円です。

中小企業経営者は、自社の年間元本返済額を正確に認識して、年間返済額を賄うために必要となる経常利益を把握をし、その経常利益額を必達目標のKPIとして設定して、会社の舵取りを行っていく必要があるのです。

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