【中小企業の銀行対策】メインバンク営業店の規模別のメリットとデメリットとは?
今日は、中小企業の銀行対策として、メインバンク営業店を選択するとき、大規模店か小規模店か、どちらを選択すべきかについて考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 金融機関の営業店には役割分担と暗黙の「格」がある
2 大規模店と小規模店とは一長一短がある
どうぞ、ご一読下さい。
1 金融機関の営業店には役割分担と暗黙の「格」がある
中小企業経営者の方から頂く質問の中で、「どの金融機関をメインバンクにすべきか」という質問に並んで多く質問されるのが、「大きなお店が良いのか、小さなお店にすべきなのか、どちらを選択すべきなのか?」です。
確かに、同じ金融機関の営業店(支店等)の中でも、外見だけでも、大きな建物の営業店もあれば、見るからに小規模な営業店が存在するのは確かです。
大規模営業店が得なのか、小規模営業店を選択すべきかを議論する前に、営業店にはそれぞれ役割と金融機関の中でも暗黙の「格」があることからお話しすることにします。
そもそも、民間金融機関の古典的で最もポピュラーなビジネスモデルが、一般の預金者から広く浅く預金を集めて、その預金を原資として、資金需要のある企業や一般個人向けに資金を貸し付けます(融資をする)。
融資先から得る貸出利息を売上高、預金者に支払う預金利息を売上原価として、その差額となる業務粗利益を売上総利益として計上することが民間金融機関の基本的なビジネスモデルです。
他方、大手金融機関でも、地域金融機関でも、立地する営業店によって、役割が定められています。
例えば、都市部の事業所がたくさん所在するエリアの営業店は「融資店舗」として、融資取引を重点的に深耕する営業店がある一方、住宅地に立地する営業店では、「預金店舗」として地域の住民から幅広く預金を集めることを重点的に取り組みます。
具体的には、「預金店舗」では、一般の預金者の利便性を高めるために、ATMを駅構内に立地させたり、ATMの稼働時間を夜遅くにまで設定したり、土日に資産運用の相談会を実施したりします。
繁華街とビジネス街が立地するような営業店では、「並進店舗」といって、預金も融資も両方重点的に取引深耕したりする営業店もあります。
更に、金融機関の営業店の中では、金融機関の中で暗黙の「格」が存在していて、具体的には、新人支店長が赴任する営業店とか、支店長でも役員手前のエースがやってくる伝統ある営業店だとか、仮に150の営業店が稼働する金融機関では、150人の部店長(支店長等)がいて、それぞれに暗黙の内に、「格」が存在するのです。
中小企業経営者として、自社の経営戦略に合わせて、営業店の見た目の外観だけではなく、暗黙の「格」まで見通した上で、取引営業店を選択できれば理想的であると言えます。

2 大規模店と小規模店とは一長一短がある
とはいえ、中小企業経営者といっても、金融機関から見れば、一融資先にしか過ぎないこともあって、中小企業経営者から、金融機関の営業店の暗黙の「格」を知ることは容易なことではありません。
このため、まずは、見た目で大きな営業店が良いか、小規模な営業店を選択すべきかについて考えてみることにします。
確かに、大規模な営業店で、かつ「融資店舗」であれば、外回りの部隊の人数も多く、内勤の融資課や融資係も人員的に充実しています。
また、融資先の先数も多いため、比較的難しい融資案件もたくさんこなしているため、一中小企業経営者としては、何かと取り組みやすいように見えるかもしれません。
他方、一外回りの担当者としては、担当エリアが広かったり、担当先数が多かったりすると、保証協会の保証付のみであったり、融資残高が小さかったりすると、どうしても担当者との接触回数が伸びなかったりします。
一方で、小規模な営業店では、確かにマンパワー的には頼りないように見えがちですが、外回りの担当者はいますし、融資先の件数が少ないため、一先一先に対して丁寧に対応してくれる可能性が高まります。
北出の経験則でも、大規模な営業店では、担当者のみが対応することがほとんどですが、小規模な営業店では、打ち合わせあの席に、担当者だけではなくて、下手をすると支店長自ら同席してくれて、「詳しく話を聞かせて下さいよ」と担当者にメモを取らせて、主体的に案件に関わってくれるケースも珍しいことではありません。
なんといっても、支店長自ら同席してくれると、その場である程度の方向性を出してくれることが多いため、むしろ小規模な営業店で丁寧に対応してくれるような選択肢の方が望ましいと北出は勝手に感じています。
基本的に、大規模な営業店だから融資案件には有利だとか、小規模営業店は不利だからといった一括りで判断する必要がないと北出は考えています。
中小企業経営者としては、取引金融機関の営業店の規模が大きかろうが、小さかろうが、積極的にディスクローず(情報開示)をして、自社について取引金融機関により理解してもらえる弛まぬ努力が必要なのです。