【中小企業の銀行対策】多様性に溢れる金融機関をメインバンクにすべき理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、多様性に溢れる金融機関をメインバンクにすべき理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 取引金融機関の歴史と沿革を知っておく
2 金融機関の多様性とは合従連衡の歴史でもある
どうぞ、ご一読下さい。
1 取引金融機関の歴史と沿革を知っておく
一言で金融機関と言っても、業態や規模に差が存在します。
金融機関が現在の業態や規模になるまでには、それなりの歴史が存在します。
金融機関によっては、合従連衡を繰り返してきたり、あるいは破綻したり、国有化という試練を乗り越えてきたりします。
中小企業経営者が、自社のメインバンクを選定するために、個々の金融機関の歴史と沿革を知っておくことは極めて重要です。
個々の金融機関が現在の看板に落ち着くまでには、意外にも様々な事象が金融機関を巡って発生しているのです。
例えば、わかりやすい例で言えば、3メガバンクです。
みずほ銀行(旧みずほーコーポレート銀行を含む)は、旧富士銀行、旧第一勧業銀行と旧日本興業銀行の3行が合併してできた銀行です。
いずれも関東系とはいえ、旧財閥系の芙蓉グループの流れを汲んでいた旧富士銀行からすれば、格下に見えていた旧DKBとの合併は想定外のことであったことは間違いありません。
三菱UFJ銀行とは、関西系の旧三和銀行の色の強かった旧UFJ銀行と、三菱グループの中核を担ってきた旧三菱銀行との合併は世間を驚かせました。
三井住友銀行は、関西の代表とも言える旧住友銀行と、関東系の旧三井銀行の色が濃かった旧さくら銀行との合併も世間的には想定外とも言えるものでした。
メガバンクだけではなく、大阪の地域金融機関でも、大阪を代表する「だいしん」こと大阪信用金庫や、大阪シティ銀行の場合も、府下の信用金庫を次々に吸収して、全国的に見ても大きな規模を有する信用金庫として、大規模化しました。
このように、規模の大きな金融機関を見ると、その歴史と沿革という点で言えば、M&Aの歴史とでも言えるものなのです。

2 金融機関の多様性とは合従連衡の歴史でもある
他方で、合従連衡をほとんど行わず、純血主義を貫いてきた地域金融機関も現に存在します。
資金量(預金量)5,000億円、貸出金2,500億円、従業員数300人程度の地域金融機関の場合、過去30年間、合従連衡を行うことなく、独立独歩でやってきた金融機関があるのも事実です。
この程度の規模の金融機関ですと、本部の部長や次席、営業店の支店長や次席、役席者あたりまでは、皆、顔見知りで、役員クラスまで人事面でガッチリと固まっていたりします。
この程度の金融機関がダメとは言いませんが、この程度の規模の金融機関で、多様性が存在するか、異文化がもたらすパワーが認められるかという点で、甚だ疑問が残るところです。
一方、合従連衡を繰り返してきた金融機関の場合、ある時に組織内でぶつかり合いが発生したり、下手をすると軋轢まで生じてしまう懸念がなきにしもあらずです。
実際問題、金融機関の経営統合にあたっては、同じ金融機関であったとしても日常的に使用する用語が違っていたり、稟議の手続きの要領に差が存在したり、下世話な話ですが、休暇届のような人事面での帳票類を「どちらの金融機関のものを採用するか」ということだけでも、出身金融機関の違いから揉めてしまうことさえ起こるのです。
しかしながら、コンプライアンスの順守という金融機関として絶対に譲ることのできない旗印を基に、異文化が矯正したり、新たなパワーを組織内で生み出していることも事実なのかもしれません。
組織内でもこうなのですから、融資先に対しての姿勢も全く同様です。
小規模な金融機関で純血主義を貫いてきた金融機関は、融資先に対しても「こうあるべきでしょ」という姿勢を譲らなかったりすると、融資先にもイノベーションが発生しようもありません。
もちろん、中小企業経営者の中でも、保守的な思考を基に、「成長はしないでもよし、無借金で現状維持でよしとする」という考え方を持っている中小企業経営者がいるかもしれません。
しかしながら、自社をもっともっと発展させて、利益を出しながら従業員の生活を安定させることはもちろん、食べるために働くという思考から働くことで自己実現を果たしていく従業員を育成し、社会にも貢献していきたいという経営者は決して少数ではないはずです。
そのような前向きな会社を作っていくためにも、特にメインバンクに対しても、多様性を受容してくれることを期待しても不思議でも何もありません。
前向きな中小企業経営者であれば、自社のメインバンクを、合従連衡の歴史を持っていて、多様性を受容してくれるような金融機関に選定することが必要なのです。

