【中小企業の銀行対策】間もなく出揃う各金融機関のディスクロージャー誌の注目点とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、間もなく出揃う2026年3月期決算実績を盛り込んだ各金融機関のディスクロージャー誌の注目点について考えてみます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 ディスクロージャー誌の3つの注目点に注目する
2 ディスクロージャー誌によって個別金融機関の勢いを垣間見ることができる

中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。

1 ディスクロージャー誌の3つの注目点に注目する

2026年3月期を決算期とする金融機関は、どこも、税務申告を完了し、上場金融機関であれば、先月末までに定時株主総会を終えています。
上場金融機関であれば、既に、決算短信が広く投資家を含め一般に開示されています。

一方、非上場の地域金融機関や、持ち株会社方式に移行している金融機関であれば金融機関単体では非上場であるため、一般の預金者や融資を受けている中小企業経営者からは今の時点で詳細な金融機関単体の収益状況を含めた経営状況を把握しにくい状況です。
このようなことから、地域金融機関を含めて、銀行等金融機関は、一般預金者や融資先事業先に経営状況を開示するためのディスクロージャー誌を作成しています。
ディスクロージャー誌は、直近の業績とそれを踏まえた今後の経営計画がわかりやすく謳われています。
2026年3月期のディスクロージャー誌は未だ全ての金融機関において開示されていないようですが、間もなく、どの金融機関でもディスクロージャー誌が開示される運びです。
ディスクロージャー誌は、金融機関営業店の待合コーナーに誰でも閲覧できるよう設置されている他、金融機関の公式ホームページで公表されるので、誰でも、その気になれば閲覧可能です。

既に報道されている通り、2026年3月期の大手金融機関や大手地方銀行はバブル期並みの好業績となっていて、一部の上場金融機関の株式は、割安感もあってか、投資ファンドが発行済み株式の一定数を購入したりしています。
一般に、金利上昇局面では、金融機関の収益環境は大きく向上しますが、地域金融機関の一部ではその波に十分乗り切れていない金融機関も散見されます。
ディスクロージャー誌の誌面では、どの金融機関でも、「当行(当庫、もしくは当組)は健全経営です」と歌い上げていることになりますが、金融機関によって、収益の勢いにはマダラ模様が見えます。

2026年3月期だからこそ、金融機関のディスクロージャー誌の注目ポイントを整理してみることにします。
金融機関のディスクロージャー誌の注目点1つ目が、「収益状況」です。
自行で短プラを設定している金融機関では、政策金利の引き上げに従って、融資にかかる貸出利息は大きく増加しています。
単純に、儲かっていない金融機関の方がおかしいのです。
前期や前々期の業務純益(「売上総利益」に相当)、経常利益が増加しているかどうか、チェックすべき大切なポイントです。

金融機関のディスクロージャー誌の注目点2つ目が、「店舗の統廃合の状況」です。
合併行の場合、合併のシナジーを最大限に得るため、合併当初から営業店の統廃合(店舗内店舗方式での統廃合となります)が当初から盛り込まれている金融機関はさておき、合併や経営統合がなされていない金融機関で店舗の統廃合が進んでいるのであれば、総資産を意図的に圧縮している可能性が高まります。
実際、金融機関営業店は、防犯上の配慮もあり、店舗自体、相当にコスト高です。
特に、地域密着を掲げているような地域金融機関が、出先である営業店を必要以上に減らしているのであれば、要警戒です。

金融機関のディスクロージャー誌の注目点3つ目が、「債券の運用状況」です。
特に、預貸率(=融資残高÷預金残高×100%、集めた預金をどこまで自前で貸せているかという金融機関の経営指標です)が低い金融機関の場合、貸せていない資金を現金で金庫に保管しておくわけにはいかないので、日本国債や社債といったリスクが低いとされる投資有価証券で資金運用を行います。
2026年3月期の1年間を通じて、債券安(長期金利が上昇)が進んだことから、保有している投資有価証券に含み損が発生していることが懸念されます。
投資有価証券の含み損は、地域金融機関の場合、直ちに損失計上することはありませんが、投資目的が満期保有の場合、債券の満期が到来する度に、投資有価証券売却損という営業外費用(もしくは特別損失)が発生していくことになります。
この先、債権相場が高値に転じることがあれば、含み損が拡大することはありませんが、債券安のトレンドが続くようであれば、投資有価証券売却損はいわば時限爆弾のように、地域金融機関の経営を圧迫していくことになりかねません。

このような点に注目をしながら、間もなく出揃うであろう金融機関のディスクロージャー誌に中小企業経営者は注目してみてはいかがでしょう。

【中小企業の銀行対策】間もなく出揃う各金融機関のディスクロージャー誌の注目点とは?

2 ディスクロージャー誌によって個別金融機関の勢いを垣間見ることができる

上記3つの注目点のうち、より注目すべきなのが、店舗の統廃合の状況です。
実際、金融機関の営業店は一般の企業の事業所と比較すると、驚くほどの高コストです。
中でも、大きいのが人件費で、部店長(支店長等)がいて、次席がいて(ここまでが管理職)、この人たちは、世間から見ても高所得の人たちです。
それに役席者がいて、ヒラまで兵隊がいて、営業店の総人件費は中小企業の感覚とは大きく違います。

また、債券安が進んで、保有している投資有価証券に含み損が出てくるとなれば、総資産の圧縮は待ったなしです。
総資産の圧縮の第一段階は、営業店を統廃合して、固定資産を削減することです。
次にやってくるのは、もしかすると、融資残高の圧縮で、中小企業経営者が最も恐るべき貸し渋り、貸し剥がしが起きないとも限らないのです。
そのような金融機関をメインバンクにしていると、増加運転資金や設備資金等、会社を成長させるために必要となる前向き資金さえ、調達が困難になりかねないのです。

中小企業経営者とすれば、自社のメインバンクが元気で、健康でいてくれることが極めて重要です。
上記3点を注目するのに当たって、規模が似たような金融機関と自社メインバンクと比較してみることが効果的です。

中小企業経営者は、たかがディスクロージャー誌と軽視するのではなく、複数の金融機関のディスクロージャー誌を比較検討し、元気で、健康な金融機関へ取引をシフトさせていくことが自社の成長の鍵になりうることを認識しておく必要があるのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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