【中小企業の銀行対策】決算書の信頼度を上げるために資金繰り表の更新が必要となる理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、決算書の信頼度を上げるために資金繰り表の更新が必要となる理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 全東信の経営破綻で粉飾決算に注目が集まっている
2 行政庁の地域金融機関の審査のあり方の目線が険しくなっている

中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。

1 全東信の経営破綻で粉飾決算に注目が集まっている

全東信の経営破綻から早、2ヶ月が経ちました。
弊所は、大阪府八尾市に事務所を構えていて、全東信の本社が大阪市中央区にあり、在阪の地域金融機関の多くが融資を出していて、同社の破産手続き開始決定によって、在阪金融機関の多くが不良債権を背負うことになりました。
北出の気のせいかもしれませんが、全東信で不良債権を負った金融機関営業店にお邪魔しても、なんとなく重苦しく、ピリついていたりするものを感じてしまったりします。

幸いにも、弊所のお客様の中小企業で、同社の経営破綻による直接的な影響はなかったものの、不良債権を抱えた在阪の多くの地域金融機関は深手を負ってしまいました。
同社が破産手続きに追い込まれた原因の一つが、粉飾決算です。
粉飾決算は、古くて新しい問題で、昔から金融機関から融資を引っ張るため、赤字体質をさもさも利益が出ているように決算書や試算表を改竄したもので、2004年に発覚した今はなきカネボウ、オリンパス(2011年発覚)、東芝(2015年発覚)、山一證券(1997年発覚)、ライブドア(2006年発覚)と粉飾決算の例を挙げると枚挙に遑がないほどです。
そして、全東信と同様、経営破綻や自主廃業に追い込まれたり、会社が解体されたりして、粉飾決算が発覚してしまうと、事業継続にも大きな支障が出てしまうことがよく理解することができます。
全東信に関して言えば、代表者が同じ会社をM&Aで買収した際、たかだか総資産50百万円内外の会社の営業権を180億円で桁違いの過大計上をしていたり、現預金残高を水増ししていたことなどが相次いで発覚しました。
こう言ってはなんですが、粉飾の手段としては極めて稚拙で、「そんなんがバレへんと思ってたんか?」と笑ってしまうほどです。
みずほ銀行をはじめ、粉飾を見抜いていたのか、大手金融機関はさっさと融資を回収した一方、その貸出債権を肩代わりしたのが在阪の地域金融機関などでした。

行政庁は、全東信に融資を出していた金融機関の審査体制を調査したり、検査に入ったりすることを表明しています。
おそらく、全東信に多額の融資を出していた金融機関では、融資金額が大きかったことを勘案すると、営業店の部店長決裁ではなく、本部与信所管部署(審査部や融資部)が審査と稟議承認を行なっていたことが想像されます。
こう言ってはなんですが、営業店はさることながら、本部の与信所管部署の審査役や調査役の目は節穴だったのかと呆れてしまいます。

それはとにかく、全東信は多くの金融機関の目を欺き、粉飾決算を繰り返していたことは間違いありません。
金融機関は、決算書や試算表等の計量的要素を極めて重要視するため、粉飾した決算書を金融機関に提出して、融資の申込を行うこと自体、詐欺行為に他なりません。
全東信の破産事件を契機にして、融資額の大小に関わらず、粉飾決算に対する世間の注目度はこれまで以上に高まっているのです。

【中小企業の銀行対策】決算書の信頼度を上げるために資金繰り表の更新が必要となる理由とは?

2 行政庁の地域金融機関の審査のあり方の目線が険しくなっている

全東信の破産事件によって、地銀、第二地銀、信金や信組といった地域金融機関で多額の不良債権が発生したことを、金融機関の行政庁は重く見て、地域金融機関の審査体制をチェックする意向が示されています。
このため、地域金融機関の本部与信所管部署は、営業店に際して、融資先の管理の徹底の指示を出していることは容易に想像できます。
融資を受けている中小企業にとっては、対岸の火事ではなく、そのような状況に適格に対応する必要が出てきます。
では、中小企業側としては、どのような防衛策が必要となるでしょうか。
考えてみましょう。

まず大切なことは、中小企業側が取引金融機関に開示する計量的資料(決算書、試算表、資金繰り表等)の信憑性が高いことを猛アピールすることです。

決算書や試算表をいじっていないことをアピールするために重要な帳票が、資金繰り表です。
資金繰り表で、現預金の現物が明確になりますし、例えば建設業であれば、受注明細で物件名、受注金額、着工年月、完工年月に加えて、完工前に受領した施工代金と完工後に受領した施工代金と、材料費や外注費の支払を明示することで、未成工事支出金と未成工事受入金の金額を決算書上でいじることができなくなります。
資金繰り表で、向こう半年間(できれば1年間)のおカネの流れを明確にすることができれば、決算書や試算表の信憑性をより一層高めることができます。
「当社は、間違っても粉飾はしていません」という金融機関に対するメッセージを打ち出すことこそが、金融機関に対する中小企業の最大限の防衛策なのです。

中小企業経営者は、仮に赤字決算となる場合には、粉飾したいという誘惑に駆られることなく、赤字決算を脱却するためのアクションプランを明確にして、取引金融機関との信頼関係を構築していかねばならないのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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