【中小企業の銀行対策】取引金融機関に対して書面で対応すべき理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として取引金融機関に対して書面で対応すべき理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。

1 記憶より記録が肝心である
2 金融機関の組織特性を把握しておく

どうぞ、ご一読下さい。


1 記憶より記録が肝心である

一部の中小企業や小規模事業者の場合、社内のやりとりは性善説のもと、連絡や報告が口頭で行われているケースが見受けられます。
例えば、従業員が明日、有給を取ろうとする時、
従業員「社長、明日、息子の学校行事で一日、休み欲しいんですが」
社長、「おお、ええよ。休暇届は明後日でええからな」
などとカジュアルなやり取りがあったりします。
経営者と従業員との間に信頼関係が存在している証拠で、中小企業や小規模事業者ならではの平和な風景です。

一方で、金融機関に対しては、万事性善説というわけにはいきません。
金融機関の担当者は、打ち合わせの度に、打ち合わせ内容を記したメモを残しています。
後々、言った言わないというトラブルを防ぐためのもので、平時には打ち合わせメモが登場することはありませんが、何かしら問題が発生した場合には、打ち合わせメモが活躍します。
打ち合わせメモは、しっかりと残っていて、担当者が人事異動や係替えなどで交代しても、現担当者が当時のやり取りを打ち合わせメモを参照することで、把握することができます。

いかに切れる経営者と言っても、時間が相応に経ってしまうと記憶は曖昧になってしまいます。
取引金融機関とのやりとりは、後々発生するかもしれない想定外のトラブルを回避するためにも、少なくともメモのような形で記録しておくことが必要です。
記憶より記録が、取引金融機関との間では極めて重要なのです。

【中小企業の銀行対策】取引金融機関に対して書面で対応すべき理由とは?

2 金融機関の組織特性を把握しておく

このように、金融機関の中では、書面で仕事をすることが徹底されています。
このため、内々の打ち合わせメモだけではなく、取引金融機関への要請や報告も書面で行う必要があります。
書面といっても、重要なものが、試算表であり、決算書であり、資金繰り表であり、受注明細といった極めて基本的でシンプルなもので十分です。
場合によっては、経営改善計画書の策定・提出が必要となるケースも想定されます。

取引金融機関への報告や要請が口頭では不十分である理由とはどのようなものでしょうか?
その理由は、まさしく金融機関の組織特性にあります。

金融期機関の組織特性は、一言で言ってしまうと、「ピラミッド型」です。
融資の可否だけではなく、リスケジュールの実行や更新など、与信に関するものは全て、稟議にて承認されます。
稟議の承認権限は、金額、債務者区分や信用格付等で、厳格に決められています。
案件によっては、営業店(支店等)では決裁権限がなく、融資部、審査部といった本部の与信所管部署の承認が必要となります。

融資の可否の稟議の本部決裁となる場合、営業店の担当者や、担当者ど同席してくれる支店長は会社のことをよく知ってくれていますが、本部の与信所管部署の調査役や審査役は、会社のことをよく知らないため、書面だけで与信判断を行わざるを得ません。

会社のことをよく知らない本部の与信所管部署に稟議の承認を頂くためにも、徹底して書面で会社の状況や今後の方針を金融機関に伝えていく必要があります。

中小企業経営者は、取引金融機関への報告や要請を書面で行うことを徹底することに加えて、社内についても書面で仕事をする文化を根付かせる必要があるのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA