【中小企業の銀行対策】取引金融機関とのメール活用の心得とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、取引金融機関とのメール活用の心得について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 金融機関は意外にも「アナログ」である
2 金融機関によってメールの運用に差がある
どうぞ、ご一読下さい。
1 金融機関は意外にも「アナログ」である
中小企業と言っても、社内外のデジタル化は相当に進んでいるはずです。
会社の姿勢や経営者の方針にもよりますが、取引先の要請を優先すると、ファックスなどアナログでのやり取りは縮小する一方です。
特に、ファックスは、誤送信が発生したり(メールの誤送信もなきにしもあらずですが)が、送った、もらっていないと言った具合のトラブルがつきものですし、記録に残りにくいということからも、取引先とのやり取りはメールが圧倒的に主流です。
他方、金融機関の場合、金融機関個別によって差があるのですが、意外にも外部とのやり取りはいまだに「アナログ」が存在感を発揮しています。
もちろん、コロナ禍でメールのやり取りやzoomでの面談が普及しましたが、意外にもアナログが大好きなのが金融機関です。
とはいえ、金融機関では、銀行内でのデジタル化は相当に進んでいます。
稟議書は紙ベースから電子申請がほとんどのようですし、決算書もデータベースに読み込ませているので、最近新設されたり、移転した金融機関の営業店(支店)では、金融機関営業店の象徴とも言えた金庫がそもそも存在しなかったりするようです。
しかしながら、外部とのやり取りは、いまだに「情報が外部に漏洩されるのでは」という性悪説が支配的です。
このため、担当者個人のメールアカウントがなかったり、メールはあっても受信専用であったり、個人ではなく、営業店や部署単位しか外部メールのアカウントが設定されていなかったりします。
時折、「メールのテスト送信が必要なので、空メールを送ってもらえませんか」と言われることもありますし、下手をすると、「すみませんが、ファックスで送ってもらえませんか?」などとお願いされると、「え!! ファックスですか??」と椅子から落ちそうになることが時折あります。
受信専用なのは良いけれど、一応、普通にビジネスマナーとして、「〇〇市X社の資料をお送り頂きまして、ありがとうございます。拝読させていただきます」といった具合のお礼と確実に受領しましたという確認のメールが送られてこないので、メールで資料を金融機関に送ることの多い北出としては、時折、「ホンマに、メールの添付ファイル、読んでくれてるんかな」と不安に思うことがなきにしもあらずです。
このように、一見デジタル化が進んでそうに見える金融機関ですが、外部に対しては、意外にもまだまだアナログが支配的なのです。

2 金融機関によってメールの運用に差がある
金融機関の場合、勘定系と情報系という二つの基幹システムが運用されているケースが大半です。
勘定系とは、その名の通り、毎日の預金の入出金、融資の実行、回収、口座振替や振込等為替といった実際のおカネの取引を司るシステムで、いわば、金融機関の心臓部というべき存在です。
勘定系によって、毎日、借方、貸方を合致させることで、勘定が合うということになります。
一方、情報系というのは、顧客の情報を司るシステムで、例えば、〇〇市××町1丁目のXさんの家庭にはおじいちゃん、おばあちゃんをはじめ5人の預金取引があって、X家の名寄せの預金残高は1億30百万円で、大事な大口預金者であるという具合の顧客属性を管理するシステムです。
勘定系と情報系のシステムは毎日膨大な量を処理するシステムで、システムの構築と保守・メンテには膨大な資金が必要となるので、地銀や第二地銀は、エリアを超えて、合同でシステム開発を行っていたりします。
外部メールについても、このような巨大なシステムによって管理されているため、金融機関とやり取りをするのに当たって、「あの銀行はアナログで話にならん、メイン変えよかな」などと短絡的な考え方をしてはいけません。
ましてや、一担当者や部店長(支店長等)に対して、「御行の外部メールのシステムはなっとらん!」とどやしつけても、お互い、嫌な想いしか残らず、何も事態は変わらないのです。
なので、中小企業経営者としては、自社のメインバンクの外部メールの運用を正しく理解して、それに基づいて、利用するしか方法はないのです。
自社のメインバンクの外部メールが受信専用であれば、メールを送ってから5分ほど経ってから、担当者に、「メールを送らせてもらったんですが確認してもらえましたか?」とアナログな電話を入れる他ないのです。
「ファックスで・・・」とお願いされれば、ファックス番号を何度も確認して万が一にも誤送信が発生しないよう、最大限の注意を払いながらファックス送信するしかないのです。
中小企業経営者は、環境負荷軽減のため、可能な限りペーパーレスを推進すべく、取引金融機関に対しても、外部メールを適切に活用する必要があるのです。
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。
