【中小企業の銀行対策】社会保険料を滞納してはいけない絶対的理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、社会保険料を滞納してはいけない絶対的理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 社会保険料は税金と同じ位置付けと心得る
2 社会保険料を滞納する前に取引金融機関へのリスケに踏み切る

どうぞ、ご一読下さい。

1 社会保険料は税金と同じ位置付けと心得る

我が国の年金財政が厳しさを増していることは、日々の報道からも周知の事実です。
急速に進んだ少子高齢化によって、支え手が少なくなって、受益者ばかりが増えてしまっているので、年金財政が厳しくなっていることは、当たり前といえば当たり前です。

こうした事態を少しでも打開するため、パートなどの非正規従業員にも社会保険の加入者を拡大させ、支え手を確保しようと、日本政府は躍起です。

社会保険の対象者が増えるということは、従業員の社会保険料の一部を負担する会社にとっても、社会保険料負担は重くなる一方です。
法人税などと違って、社会保険料の会社負担分は従業員の数で決まるため、いくら会社が赤字になったとしても、社会保険料負担が軽減されることはありません。

一方、社会保険行政を司るのは、日本年金機構で、仮に、会社が社会保険料を滞納してしまうと、年金機構は、税務署とほぼ同じ権限といえる「国税徴収法に準じる形」で、会社の財産等を差し押さえることができます。

差し押さえの対象となるのは、換金性が高い銀行預金やお客様への売掛金です。
実際、年金機構から自社のお客様に売掛金が差し押さえられたので、売掛金(相手の会社から見れば買掛金)を支払ってはならない旨、通知されてしまうと、会社の大概信用はガタ落ちになってしまって、仕事を切られてしまう可能性が極めて高くなります。
また、銀行預金についても、差押がなされてしまうと、借入金への期限の利益喪失事項に該当してしまって、下手をすると、取引金融機関から一括返済を迫られてしまいます。
銀行預金やお客様への売掛金が年金機構に差し押さえられてしまうと、事実上事業継続が困難になってしまうのです。

【中小企業の銀行対策】社会保険料を滞納してはいけない絶対的理由とは?

2 社会保険料を滞納する前に取引金融機関へのリスケに踏み切る

年金事務所(年金機構)としても、一回の滞納で、いきなり財産を差し押さえるようなことはさすがにしません。
しかしながら、「年金機構、そんなん、面倒くさい」と納付を促すような通知が郵送されてきても、そのままゴミ箱に直行させたり、電話が来ても対応しないような態度に出てしまうと、年金機構から「納付の意思なし」とみなされても、仕方がありません。

会社なので、時に、季節変動や一時的な急速な売上減によって資金繰りが厳しくなることは起こり得ます。
納付が難しい状況に陥った場合には、しっかりと納付する意思を年金事務所に伝える他、今後の納付の見込みを明示しなければなりません。
そのために、有効なのが「資金繰り表」です。
「資金繰り表」上で、将来の資金繰りをシミュレートした上で、実現可能性が高い納付計画を策定する必要があります。
その際、重要なことは、滞納分の納付に加えて、社会保険料は毎月発生するため、通常分の納付を行いながら、滞納分を上乗せして納付しなければならなくなるため、滞納の解消には相当な収益改善が必要となってしまうのです。

また、資金繰り表をシミュレートして社保の納付を優先すると、資金ショートする可能性が高い場合には、取引金融機関各行に元本返済の条件変更(リスケジュール)を要請しなければなりません。
金融機関としても、社会保険料が自行への返済よりも有債権であることは百も承知なので、「社保の納付を優先したいので、向こう1年間、元本返済を止めるもしくは減額する」という債務者からの申し出を蹴るようなことはあり得ません。

重要なことは、社会保険料は一時的に分納に応じてもらったり、金融機関からリスケジュールに応じてもらったとしても、債務が消えて無くなることはありません。

社会保険料の場合、日常的な業務との関係性が決して高くはないため、ついつい安易に滞納してしまいがちです。
また、金融機関に対しても、常日頃から担当者と人間関係が構築できていないと、「リスケをお願いしたいんやけど」となかなか切り出すことはできません。

中小企業経営者は、優先債権である社会保険料の納付を優先させることに加えて、社保の納付を優先させるため金融機関へのリスケジュールを要請できるよう、金融機関との信頼関係構築に努めることが重要なことなのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい

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