【中小企業の銀行対策】紙の手形小切手廃止による手貸の単名手形の消滅効果とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、2027年3月末の紙ベースの手形小切手廃止に伴う銀行の手貸の単名手形の消滅効果について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 金融機関は当座預金開設先に手形小切手廃止を要請している
2 単名手形消滅に伴う融資先中小企業が受ける効果を考える

中小企業経営者の皆様、どうぞご一読下さい。

1 金融機関は当座預金開設先に手形小切手廃止を要請している

紙ベースの手形・小切手が2027年3月末(来春)で廃止されます。
紙ベースの手形・小切手の廃止に伴って、でんさいへの移行が順次進み、ほとんどの金融機関当座預金開設先では、紙ベースの手形・小切手の振り出しを終えています。
また、でんさいについても、下請法改め取適法の効果もあって、外注先や仕入先へ電子債権での支払の先送りが時代遅れの代物になってしまったことで、中小企業が電子債権を受け取る機会も減少する方向に進んでいくものと考えられます。

このように、全銀協以下、金融業界を挙げて、どの金融機関も脱・紙ベースの手形・小切手を進めています。
かつては、地方の有力都市に手形交換所が設置され、手形交換所に加盟していた金融機関の営業店(支店等)が手形・小切手を手形交換所に持ち寄り、手形・小切手の決済を行なっていました。
一覧払いの小切手や支払期日に支払提示がなされた手形に対して、当座預金の残高が不足すると、不渡として手形交換所加盟金融機関営業店に広く通知され、半年間に2度の不渡が出ると銀行取引停止処分を手形交換所から受け、当座預金は強制解約となりました。
しかしながら、世の中の潮流から手形・小切手の流通量は減少の一途を辿って、現在は全銀協が運営する手形交換所で細々と日々紙ベースの手形・小切手の決済業務を行なっていますが、その手形交換所も来春でお役御免となります。

昭和から平成にかけて銀行員として駆け抜けてきた数多くの元銀行員からすれば、隔世の感が強いものと考えられます。

このように、金融機関と金融業界がこぞって、紙ベースの手形・小切手の廃止に鋭意取り組んでいるところなのです。

【中小企業の銀行対策】紙の手形小切手廃止による手貸の単名手形の消滅効果とは?

2 単名手形消滅に伴う融資先中小企業が受ける効果を考える

一方、中小企業は、金融機関から融資を受ける際、手形貸付という名の短期資金を調達する際、単名手形を金融機関に振り出して融資を受けてきました。
単名手形の名前の由来は、本来、手形は受け取った仕入先や外注先が代金の代わりに手形に裏書をして支払に充ててきましたが、金融機関に差し入れる融資の証の手形は、金融機関が裏書することはないので、単名手形と呼ばれています。

単名手形は、例えば、季節によって繁閑の差が大きな業種で、半年間の季節資金を調達する場合や、公共工事を受注する建設業者で役所からの最終資金を受領するまでの立替資金を調達する引当融資(紐付融資ともいう)を受ける際に、単名手形を金融機関に差し入れる形で手形貸付として融資を受けてきました。

ところが、金融機関の側が、当座預金開設先に紙の手形・小切手を廃止すると大きく旗を振っている中で、金融機関が引き続き短期資金の融資実行に際して、単名手形を差し入れさせるというのは、あまりにもナンセンスな話です。

このため、多くの金融機関が単名手形の廃止をどんどん進めています。

では、単名手形が使用されなくなった場合、融資を受ける中小企業にはどのような影響や効果があるのでしょうか。
まず、手続きとすると、単名手形の代わりに、長期資金と同様に、短期の証書貸付を受ける形に移行します。
従来、3ヶ月毎に書き換えていた単名手形ではなく、6ヶ月毎の短期証貸を受ける形式となります。
ところが、融資実行額が同額であれば、手形に比べると金銭消費貸借契約書を交わすとなると、印紙税が高くついてしまいます。
それでは、融資を受ける中小企業には不利益となってしまうため、紙ベースの手形・小切手を電子化するのと同様に、6ヶ月の短期証貸を受ける形で、電子契約とする形態に変えることとなります。

電子契約となると、印紙税が課税されなくなるため、年間数万円程度の印紙代(租税公課)の軽減効果が中小企業に波及することになります。

もちろん、中小企業側が電子契約に対応する必要がありますが、今時、ネットバンキングの利用が当たり前になっている中小企業ですから、電子契約への対応にはほとんど支障がないはずです。

中小企業経営者は、単名手形の廃止だけではなく、社内の電子化をじゃんじゃん推進し、紙ベースの業務を極力減らしていくことへの経営努力が必要なのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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