【中小建設業の銀行対策】元請建設業がリスケジュールをしてはいけない理由とは?

今日は、昨日に引き続いて、中小建設業のお話です。
トピックスは、元請建設業がリスケジュールをしてはいけない理由について考えてみます。

1 赤字になると短期のつなぎ資金(引当)の調達ができなくなる
2 リスケジュールをしてしまうと大きな工事が受注できなくなる

どうぞ、ご一読下さい。

1 赤字になると短期のつなぎ資金(引当)の調達ができなくなる

一般施主や役所からの元請工事を受注する建設業者にとっては、まとまった工事を受けると、材料費、外注費と現場経費の工事原価の支払が毎月発生します。
他方、一般施主や役所からの工事代金の回収は、3、3、4とか、3、7とか、前受金を貰えても最終の工事代金の回収額が大きいので、工事原価の支払いが先行します。
このため、最終の工事代金の回収分を引当にして、金融機関から短期のつなぎ資金を調達する必要が出てきます。

実は、金融機関の役職員の本音としては、この引当、つなぎ資金を本当はやりたくないのです。
なぜならば、工事代金が振り込まれている当座預金や普通預金をチェックして、引当の対象の資金が振り込まれてきた時点で、融資先の建設業者に資金が振り込まれてきたので、返済をお願いしますと言う具合に管理する必要があるからです。
金融機関の役職員としては、長期資金をドドーンと放り込んでしまえば、資金を管理する必要がないので、どうしても長期の月次約定返済付きで融資を実行しったがるのですが、それだと、必要以上に借り過ぎてしまうので、建設業者としては、工事毎の短期つなぎ資金で資金を調達する方が望ましいのです。

しかしながら、工事が不採算になってしまって、赤字決算となると、金融機関としては、短期のつなぎ資金での対応が難しくなってしまいます。
単純に、担当者として稟議が書きにくくなってしまいます。
このため、建設業者が安定的に短期のつなぎ資金を調達するためには、不採算工事を回避して、原価管理をしっかりやって黒字決算を維持する必要があります。
役所の工事は入札が原則なので、そこでしっかりと儲けを出すには、よほど、現場監督さんがシュッとして実行予算管理をやり遂げなければなりません。

2 リスケジュールをしてしまうと大きな工事が受注できなくなる

確かに、入札物件で儲けを出すのは容易ではありませんし、同業他社との競合も熾烈です。
しかしながら、だからと言って、「赤字でもしゃあないやないか」となってしまうと、本来必要となる短期のつなぎ資金の金融機関からの調達が難しくなります。
赤字を回避したとしても利益がカツカツだと格付けが下がってしまって、利息のレートが高くなってしまうかもしれません。

赤字が続いて資金繰りが厳しくなってリスケジュールをするのは事業継続への重要な手段ですが、元請建設業で、まとまった工事を受注するためには、短期のつなぎ資金の調達が必要不可欠です。
リスケジュールをしてしまうと、原則ニューマネーの調達が難しくなるので、短期のつなぎ資金の調達が困難になります。
こうなってしまうと、これまで受注してきた元請工事を受注することができなくなってしまいます。
事業継続のため、他の元請業者の下請、外注として仕事を取ったとしても取れる工事のロットは小さくなりますし、工事代金を出来高でもらうようにすると、受注単価も切り下げられてしまい、会社としてジリ貧になってしまい、リスケジュール状態を脱却できなくなります。

このように、元請受注を継続していくためには、工事単価が伸び悩む中で、実行予算管理を徹底して利益をしっかりと出して、金融機関からの信頼を得て、短期のつなぎ資金を調達していくことが極めて重要です。
中小建設業経営者は、経営陣だけではなく、現場監督や外注業者を含めて、原価管理の重要性を認識させ、利益をしっかりと出せる会社の体質にしていく必要があるのです。

【中小企業の収益改善策】「原価は下がらない」を前提として収益改善を図らなければならない理由とは?も併せてご一読下さい。

公式サイト「次世代に残せる老舗企業の創造」もご覧下さい。

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