【中小企業の銀行対策】北出が中小企業向け融資審査が自動化されないと信じているワケとは?
今日は、わたくし北出が、日々の業務を通じて、金融機関における中小企業向け融資審査が自動化されないと信じているワケについてご披露したいと考えています。
今日の論点は以下の2点。
1 住宅ローン審査は、近々完全自動化される予感
2 中小企業向け融資審査の本来のキモは「目利き」である
どうぞご一読下さい。
1 住宅ローン審査は、近々完全自動化される予感
金融機関の融資業務は、大企業向けのホールセールス、中小企業向け融資、住宅ローン等個人向けローン等に大きく大別されます。
このうち、大企業向けは、ほぼ決算書情報、下手をすると有価証券報告書のみ、住宅ローンはローン債務者の勤務先、勤続年数といった個人属性と物件情報が審査の主なベンチマークとなるので、ほぼ定量的要素だけで審査が済んでしまうというのが現状です。
大企業向けは資金が反復する可能性が高いので、実行したら終わり、と言うわけではありませんし、決算期毎に決算情報をアップデートして格付けを更新します。
大企業向け融資は金額がまとまるため、金融機関としても引き続き注力する分野です。
一方、住宅ローンは、物件に設定されるのが抵当権(普通抵当権)であるのが象徴的であるように、「やったら終わり」なので反復が基本ありません。
下手をすると、ローン控除期間が終了した時点で、全額一括返済ということもあり得るので、金融機関としては妙味が薄くなります。
ましてや、住宅ローンは、金融機関が相互に不毛な利息ディスカウント競争にさらされているため、家計のメイン化などは、金融機関からすればたかだかしれています。
このため、みずほ銀行などは、東北など地方から新規住宅ローンから撤退していて、住宅ローンの金融機関の取り組み姿勢は今後ネガティブに推移することが想定されます。
それに対して、中小企業向け融資の実態とはどのようなものでしょうか?
改めて次の論点で考えてみます。
2 中小企業向け融資審査の本来のキモは「目利き」である
別の記事でもご指摘していますが、金融機関における中小企業向け融資は、定量的評価(決算書、試算表、資金繰り表、誰でも数字で評価できる要素のこと)7割、数字に出てこない定性的評価3割です。
この定性的評価こそが、担当者だけが評価できるもので、決してAI任せで自動化できるものではありません。
他方、定性的評価の中で、大きな部分を占めるのがオーナー社長の「お人柄」ですが、このオーナー社長の「お人柄」の定性的評価はプラスに作用するとは限りません。
「この社長、なかなかできる人やな」はプラス評価ですが、「この社長、ボンボンでアホや。話にならん」ならば評価はネガティブでしかありません。
金融機関の中小企業向け融資の流れは、脱・担保主義、脱・保証主義です。
だからこそ、中小企業の多くがオーナー経営であることから、オーナー社長のお人柄の良し悪しが、金融機関の取り組みスタンスに大きな影響を与えます。
同時に、個々の金融機関役職員にも、脱・担保主義、脱・保証主義、目利きの力が求められます。
中小企業オーナー社長は、常に社長席に居座り続けるだけではなく、社内外の情報を柔軟に吸収し、PDCAを的確に回して、会社を聖域なく改革し続ける姿勢がこれまで以上に必要です。
中小企業オーナー社長に求められる姿勢は「日々鍛錬」なのです。