【中小企業の銀行対策】「リスケジュール」と「延滞」との違いとは?

今日は、中小企業の銀行対策として、「リスケジュール」と「延滞」との違いについて考えてみます。

今日の論点は下記の2点です。

1 リスケジュールの意味するところとは何か
2 延滞は絶対に避けなければならない

どうぞご一読下さい。

1 リスケジュールの意味するところとは何か

中小企業金融円滑化法以降、中小企業にとって、リスケジュールは縁遠い存在ではなくなりました。
新型コロナウイルス感染拡大によって、コロナ特例リスケと現在進行形の収益力改善計画が浸透して、リスケジュールは金融機関の中小企業融資では避けて通れないものとなってしまいました。

ところで、リスケジュールとはどのような意味なのでしょうか?
延滞との違いはなんでしょうか?

この命題に答える前に、「期限の利益」を理解しておく必要があります。
「期限の利益」とは、例えば、長期10百万円の融資を受けた中小企業A社が、毎月元本返済166千円について、利息を上乗せして毎月25日に返済するケースを考えてみます。

融資実行後、A社の業況が悪化すれば、融資をした金融機関はA社からの債権回収を急ぎたいと考えるのが自然です。
しかしながら、A社はこれまで約束通り、毎月25日に利息を上乗せてして元本166千円を返済してきました。
突然、「全額返済して下さい」と金融機関から返済を迫れたA社はたまったものではありません。
このようなことにならないよう、債務者であるA社を守るためにも毎月25日に166千円を返済すること、言い換えると、毎月24日までは返済しなくても良いというのが、「期限の利益」です。

他方、25日を過ぎても166千円の返済ができなければ「約束違反」に当たります。
約定日である25日を過ぎても返済ができない状態を「延滞」と呼びます。

これに対して、リスケジュールとは、予め資金繰りが厳しくなることを想定して、元本返済の条件を変更するため、新たな契約を結び直すことを指します。
リスケジュールによる新たな契約によって、元本返済条件を月額0円にして利息のみ約定日に金融機関に支払うことで金融機関と同意すれば、延滞には該当しません。

このように、延滞とは、期限の利益喪失による契約違反のことを言い、リスケジュールとは大違いなのです。

2 延滞は絶対に避けなければならない

「延滞」は「リスケジュール」とは、天と地くらいの差があります。
延滞は、重大な約束違反に当たるので、絶対に避けなければなりません。

仮に、延滞状態にあって、リスケジュールに持っていくためには、まずは延滞状態が解消されない限り、話が始まりません。
資金繰りが厳しくなってからでは、延滞状態の解消が難しくなってしまいかねません。

それでは、延滞状態を回避するために、中小企業経営者がなすべきことはなんでしょうか?
その答えは、ズバリ「延滞前に、事前にリスケジュールを金融機関に要請する」ことに他なりません。
資金が尽きるかもしれないというのは、中小企業経営者は感覚的に「ヤバイ」と直感するのですが、それだけでは力不足です。

資金が尽きるかもしれない、返済を止めてもらえば資金が繋がっていくことを合理的に示すのに必要なものが「資金繰り表」です。
向こう半年間、1年間、発生ベースの損益からキャッシュベースの資金繰りを資金繰り表で表現して、リスケジュールが妥当であることを立証するしかありません。

中小企業にとって、資金繰りはまさに生命線です。
中小企業経営者は、経理を経理担当に任せっきりにすることなく、資金繰り表を主体的に作成して未来の資金繰りをシミュレートする必要があるのです。

 

【中小企業のコロナ対策】コロナからの経営改善は小さな成功の積み重ねである理由とは?も併せてご一読下さい。

公式サイト「ポストコロナの中小企業の創造」もご覧下さい。

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