【中小企業の事業承継】理想的な事業承継者が創業者の子息である理由とは?

今日のブログネタは、中小企業の事業承継のあり方として、理想的な事業承継者が創業者の思想である理由について考えます。

今日の論点は以下の2点。

1 創業者の背中を間近で見てきたのが子息である
2 全てのステークホールダー、中でも金融機関が一番納得することが大切である

 

1 創業者の背中を間近で見てきたのが子息である

北出が、中小企業と金融機関との橋渡しの仕事をしてきて、時々、羨ましいなあ・・・と思う時が「さすが、この人は、創業者の息子!」です。
もちろん、世の中、「バカ息子」という言葉があるくらいなので、親が立派だから子供も立派であるとは限りません。
しかしながら、北出が思うに、商いをやっている家庭とそうではないサラリーマン家庭とは、家庭のDNAがまるで正反対のように違いがあります。
北出は典型的なサラリーマン家庭に育っているので余計に思うのですが、「さすが、この人は、創業者の息子!」と余計思わせてくれるのかもしれません。

以前、北出が関与させて頂いていた案件で、このようなエピソードがあります。
創業社長が突然病死されて、急遽、同業の大手企業に勤めていた長男が家業に呼び戻されました。
その会社は典型的な町工場で、創業者の自宅は工場と同じ敷地にあって、長男は子供の頃工場の中で遊んでいて、今の番頭格の古参社員に遊んでもらっていたのだそうです。
長男はまだその時20代で、社内では新社長が最年少でした。
最初彼を見た時、「こいつ、ほんまに社長業務まるんかいな?」と本気で心配しました。
現実に、社長に就任当初は、知識不足の面が多く、何かとうまくいかないことばかりでしたが、いざ、数ヶ月、半年、1年と経過jしてい、社長業をまさにOJTで学んでいくと、仕事をもらっていた大手製造業の購買部長に可愛がられるようになり、受注も安定するようになりました。

新社長は、決して「俺が社長やから」といって自らをひけらかすことはありませんでしたが、いつしか、創業者のお父上の面影を見るようになり、すっかりと社長業をこなすことができるようになりました。
彼を見ていて、「やっぱり、血は争えへんなあ」と心底感動したことをよく覚えています。

創業者の子息は、多くの場合、幼少期から次期経営者として帝王学を学び、準備をするものですが、それ以上に、創業者である自身の父親の姿をよく見て育っているのです。

2 全てのステークホールダー、中でも金融機関が一番納得する

さて、そんな創業者とその子息との関係ですが、世の中の高齢化の進行よりも経営者の高齢化の方がより早く進行しています。
創業者が55歳を超えて、60代となれば、自らの後継者を決めて、事業承継を円滑に進めていかなければなりません。
後継者を決めて、円滑に事業承継を進めていくのが、創業者の最後の大仕事です。

そもそも、後継者を誰にするのかはそう簡単に決められるものではありません。
しかし、まず確かに言えることは、創業者一族以外に承継させるのは容易なことではありません。
上記にも書きましたが、サラリーマン家庭で育った番頭さんが「お前社長やれ」と言われたところで、相撲の伝達式じゃあるまいし、簡単には「謹んでお受けさせて頂きます」とは決してなりません。
番頭さんが良くても、番頭さんが帰宅して嫁はんに「俺、次期社長やれ言われたんやけど、どうしたもんやろ」と切り出せば、嫁はんは、「会社の借金、どうなるん? 保証人とかそんな苦労、勘弁して。明日、キッパリ断ってきて!」の一言でおシマイです。

理想的には、息子がすでに、会社で働いていて、息子が「俺、親父の跡、ちゃんと継ぐから」という覚悟ができていれば良いのですが、それもこれも、創業者の家族会議が必須です。

創業者も創業者で、息子にバトンを渡すタイミングとして、「会社が最も良い状況にある」ことが大切です。
債務超過で、リスケ中では、息子にバトンを渡すことはできません。
金融機関の債務者区分が傍目に見ても「正常先」であることが事業承継の最低条件です。
このため、場合によっては収益を改善し、BSを健全な状態にすることをゴールとして、事業承継への地ならしに数年から時に10年程度の年数を要するかもしれません。

他方、息子が「俺がちゃんと継ぐから」と覚悟を持っていて、創業者ファミリーがそれをファミリー全体のコンセンサスとなっていることをクリアできれば、債権者である金融機関としては、「この融資先は安泰や」ということで、大歓迎です。

このように、創業者ファミリーのインサイダーのコンセンサスと、社外の全てのステークホールダー、中でも金融機関のバックアップの全てが揃って、初めて、円満な事業承継が実現できます。

中小老舗企業の創業者、経営者の皆さん、事業承継には様々なハードルが待ち受けます。
事業承継は創業者、経営者の最後の大仕事なので、この大仕事を成し遂げられるよう、今から事業承継への準備に取り掛かる必要があるのです。

【中小企業のコロナ対策】コロナからの経営改善は小さな成功の積み重ねである理由とは?も併せてご一読下さい。

公式サイト「次世代に残せる老舗企業の創造」もご覧下さい。

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