【中小企業の銀行対策】メインバンク担当者に「現場」を体感してもらうメリットとは?
今日は、中小企業の銀行対策として、メインバンク担当者に「現場」を体感してもらうメリットについて考えます。
今日の論点は、以下の2点。
1 「現場」には会社の本性が現れる
2 「現場」から「共感」を得てもらう
どうぞ、ご一読下さい。
1 「現場」には会社の本性が現れる
北出は、日々、資金繰りと銀行取引コンサルタントとして仕事をしていますが、特にうちのお客様の会社のメインバンク担当者には、会社の現場を見てもらうようにしています。
メインバンク担当者は、引継ぎ時に前担当者から申し送りを受けていますし、決算書や試算表、資金繰り表といった定量的な資料は、うちのお客様に関してはメインバンクにドンドン開示しているので、メインバンク担当者もある程度、会社のイメージを掴んでもらってはいます。
また、ビジネスモデル俯瞰図も必要に応じて提出しているので、定量的な要素だけではなく、会社をより具体的にイメージしてもらえるよう、こちらとしては注力しています。
とはいえ、所詮は、決算書も資金繰り表も、ビジネスモデル俯瞰図も、「机上の世界」です。
会社をメインバンク担当者に体感してもらえる最も手っ取り早い手段は、「現場」を見てもらうことです。
製造業であれば工場の中や建設業であれば主たる実際の建設現場を見てもらったり、飲食店であれば店舗を見てもらうだけに止まらず実際食事をして貰えば、よりリアルになります。
他方、「現場」には会社の本性が現れます。
「今日は、お客様が会社を見にきてもらうので、朝一から掃除をしてください」と付け焼き刃的に対応すると、ボロが出かねません。
会社に日々活気が乏しいと、お客様が現場に来ても、活気あふれる現場感を演出することはできません。
お客様が立ち去った後であっても、鳴り響く罵声がお客様の耳に届いていたりします。
メインバンク担当者に「現場」を見せるためには、日々、当たり前のことを当たり前にできている会社にしなければなりません。
2 「現場」から「共感」を得てもらう
北出の経験則上、特に、中小製造業にとっては、メインバンク担当者に「現場」を見てもらうメリットを感じています。
中小製造業の多くは、大手メーカーと違い、作業者による手作業による工程が多いため、業界をよく知らない銀行員にとっては、「ほう、ずいぶん細かい作業をやっておられるんですね」という具合の好意的な反応を示す傾向が強いようです。
そもそも、銀行員は、決算書や試算表は見慣れていますが、それぞれの業界での商慣習には明るくないケースが多いため、「うちの業界ではこういうのがスタンダードなんです」なんて具合に業界慣習を教えてあげるのも効果的です。
さらには、担当者は、その融資先の現場を見学した内容を役席に報告しているので、上席にもそのまま「現場」の様子について報告が上がることも忘れてはいけません。
また在庫の保管状況はその会社の腕の見せ所です。
品番毎に整然と在庫が管理されているのを見せられれば、担当者に「この会社には不良在庫はなさそうだ」という好印象を与えることができるかもしれません。
「この会社の現場はしっかりしてる」と担当者に認識してもらえば、ビジネスマッチングで積極的に取引先を紹介してもらうことも可能です。
飲食店の場合でも、実際に食事をしてもらうとより効果的です。
居酒屋等の業態であれば、「ここは美味しい」と担当者が感じれば、コロナが収まった今であれば、得意先課や渉外係の週末の飲み会でその店を使ってくれる可能性が高まります。
一人当たり8,000円で担当者含め10人で来客してもらえれば、80千円の売上アップにも直結します。
製造業然り、飲食業然り、メインバンク担当者に「現場」を見てもらうことは極めて効果的ですし、「現場」から「共感」を得てもらうことも期待できます。
このように、中小企業が、メインバンク担当者に「現場」を見てもらうことは、極めて重要です。
中小企業経営者は、常日頃から、メインバンク担当者にいつでも見てもらえるような「現場」にしていく経営努力が必要なのです。