【中小企業の銀行対策】リスケジュール中の中小企業の取引金融機関への禁じ手とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、リスケジュール中の中小企業の取引金融機関への禁じ手について考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 収益改善計画よりも大負けしてはいけない
2 金融機関を困らせることベスト3

どうぞ、ご一読下さい。

 

1 収益改善計画よりも大負けしてはいけない

民主党政権が発足し、亀井静香内閣府特命担当大臣(金融)の政治決断の末、中小企業金融円滑化法が施行されたのが2009年12月。
あれから14年余りが経過しましたが、同法が期限切れとなって以降も、金融機関は融資先の条件変更の申し出に柔軟に対応するように行政庁から行政指導を受けています。
おかげで(?)中小企業にとって、リスケジュール(条件変更)は身近なものとなり、新型コロナウイルス感染拡大がリスケジュールの増加に拍車をかけました。

リスケジュール自体は、事業継続を最優先とするため、一時的な収益悪化や手元流動性の低下に対応するものです。
そもそも論として、中小企業は、どこも営利企業で利益を追求します。
営利企業が、利益と裏表の関係にあるリスクを踏んでしまったことによって一時的に収益が悪化したり、手元流動性が低下することは起こり得ることです。

一時的に収益が悪化したり、手元流動性が低下したことで、リスケジュールに至った中小企業経営者がなすべきことは、「同じ轍は踏まない」ことです。
しっかりとリカバリーして、一定期間を経て収益を回復させることによって、返済を再開、返済額を増額させて、リファイナンスを実現していくことこそが、リスケジュール中の中小企業経営者が負うべき経営責任です。

このため、リスケジュールを受けるに際して、何かしらの経営改善計画等を策定して、計画を着実に実行に移して、結果を出していくことが、経営改善への王道です。

他方、アフターコロナの世の中、原材料高、人手不足などなど、中小企業が直面するのは深刻なコストアップです。
このため、リスケジュール当初の段階で策定した経営改善計画等を常に達成し続けることは至難の技です。

北出の現場感としては、経営改善計画等には100点満点を目指すべきですが、及第点としては100点満点中80点程度が目安だと考えています。
簡単に言えば、リスケジュール中の中小企業経営者に申し上げたいのは、経営改善計画に対して、「大負けはダメよ」というメッセージです。

2 金融機関を困らせることベスト3

上で書きましたが、融資先からのリスケジュールの要請については、金融機関は行政指導を受けて、柔軟に対応しています。
とはいえ、金融機関側の本音としては、もちろん、担当者は口には出しませんが、「グズグズ言わんと、はよ、約定通りに返済せえや」です。

なので、リスケジュールを受ける中小企業経営者とすると、まずは担当者に対しては、(条件変更に応じてもらってありがとう)という気持ちを持って、「忖度」する必要があります。
リスケジュールを受けるに際して、「忖度」が必要であるにもかかわらず、金融機関担当者が「それは勘弁してくれや」というケース、ベスト3を挙げてみます。

「それは勘弁してくれや」の程度の軽い順に、
第3位:「金融機関に対して定期的な業況報告がなされないこと」
返済を待っている金融機関担当者としては、リスケ先の業況がどうなっているのか心配この上ありません。
ある日突然、(代理人から破産手続きへ移行する旨の通知でも来たらどうしよ)金融機関担当者としては、内心、ヒヤヒヤものです。
弊所では、リスケジュールを受けているお客様に対しては、必ず、「毎月モニタリング」(業況報告を毎月行うこと)を徹底しています。

第2位:「返済額を計画よりも減額されること」
経営改善計画上、リスケジュールから丸1年経過するタイミングで、元本返済を再開する計画であったにもかかわらず、手元流動性が回復せず、「やっぱりもう1年、元本返済を止めてくれ」とリスケ先から要請されるケースです。
このパターンは危なくて、元本返済ゼロ、利払のみが普通になってしまって、ゾンビ企業まっしぐらです。
このような事態に陥らないためにも、「毎月モニタリング」を徹底することで、業況下振れを早期に把握し、傷口が広がらないような追加の収益改善策を急ぎ講じなければなりません。

第1位:「追加融資をお願いされること」
原則として(もちろん例外はありますが)、一旦、元本返済を止めるフルリスケをしてしまうと、ニューマネーの調達はできません。
業況が経営改善計画等よりも大きく下振れてしまって、リスケ先から「今月末、このままやと手形落ちん。なんとか、追加融資を頼む」とお願いされても、金融機関担当者は、「社長、それだけは勘弁してくださいよ」となってしまいます。
これは本当に深刻で、倒産が現実味を帯びてくるような緊急事態です。
このような事態は何が何でも回避しなければなりません。

弊所、北出は、リスケジュール案件を少なからずお手伝いしていますが、リスケジュールから元本返済を再開、増額して、リファイナンスを実現することはそう簡単なことではないことを痛感しています。
リスケジュールから脱して事業再生を成功させるためには、取引金融機関の協調と、経営者の事業再生への不退転の決意が必要です。

弊所、北出は、事業再生を本気で実現させたいと強く願う中小企業経営者を全力でお支えします。

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