【中小企業の銀行対策】令和6年秋の今だからこそコロナ関連融資に注意すべきこととは?
今日は、中小企業の銀行対策として、令和6年秋の今だからこそコロナ関連融資に注意すべきことについて考えます。
今日の論点は以下の2点です。
1 コロナ関連融資は折り返しが効かない
2 収支を改善して返済原資を捻出し続ける
どうぞ、ご一読下さい。
1 コロナ関連融資は折り返しが効かない
今日で9月も終わり、令和6年度も半分が過ぎました。
令和6年度上半期において、中小企業の銀行取引において、一つの区切りを迎えることとなりました。
一つの区切りというのが、令和6年6月末をもって、コロナ借換保証が終了したことです。
大なり小なり新型コロナウィルス感染症の影響を受けた多くの中小企業がコロナ資金を調達して、事業継続のための資金をつなぐことができました。
しかしながら、新型コロナウィルスの感染症区分が2類から5類に引き下げられたことを受けて、人の往来は戻り、大阪の街にはコロナまえを凌駕するような多くのインバウンドがやってきました。
このような社会情勢を踏まえて、コロナ関連の信用保証協会の保証制度がエンドを迎えたのです。
コロナ資金の緊急性と社会的な影響を鑑みられたことで、返済期間は10年間(政府系金融機関では最長15年間)と長期に及びます。
返済期間が10年と長期になることで、月次の元本返済金額は抑えられ、中小企業・小規模事業者の返済負担を軽減されるよう、コロナ資金は配慮されています。
一方、月次の元本返済額が抑えられるということは、借入金の元本が減っていくスピードもノロノロします。
このため、令和6年7月以降は、コロナ借換保証の制度がなくなったため、返済が進んだ分を借り換える「折り返し」が効きません。
返済期間が長期で、月次の返済負担は軽減されているものの、コロナ借換保証の制度がなくなったこの令和6年秋の今、コロナ資金はひたすら返済を進めていく他ないというのが現状なのです。
2 収支を改善して返済原資を捻出し続ける
コロナ借換保証制度が生きていた令和6年6月以前、コロナ禍当初に借り入れたコロナ資金を借換たり、複数のコロナ資金を一本にまとめて返済額の軽減を図ったケースが散見されます。
しかしながら、コロナ借換保証制度なき今となっては、折り返したコロナ資金は、返済を進めていく他ありません。
設備資金であれば、返済原資を減価償却と設備投資効果で捻出することができますが、返済負担が重いので、運転資金を調達したいと中小企業経営者が望んでも、多くの場合、返済原資が十分出ていないと、ニューマネーの調達は難しくなります。
こうなると、原材料高、人手不足の中、収支をさらに改善し、返済原資を捻出し、確保していくのはそうそう簡単なことではありません。
コロナ資金の返済原資が確保できなくなると、リスケジュールに踏み切らざるを得なくなる可能性が高まります。
もちろん、返済のために借り換えるよりは、一旦リスケジュールして出血を止めて、収支改善にじっくり取り組んでいくことも一つの経営改善の手段として排除すべきでもありません。
コロナ資金を調達し、返済を進めている中小企業経営者は、コロナ資金の折り返しが効かないことを念頭に置きながら、収支を改善し、返済原資を確保していくことに注力する必要があるのです。