【中小企業の銀行対策】自社の適用金利を知っておくべき理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、自社の適用金利を知っておくべき理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点。
1 中小企業の適用レートとその決まり方
2 適用レートは信用度をダイレクトに反映する
どうぞ、ご一読下さい。
1 中小企業の適用レートとその決まり方
中小企業経営者にとって、自社の銀行借入金の適用レートは高いのか、はたまた安いのか、疑心暗鬼にとらわれることがなきにしもあらずです。
例えば、社長仲間であっても、「うちの会社の金利はこのくらいやけど、おたくの会社はどうよ?」と直接的に尋ねにくいことです。
当然、メインバンク担当者にも、「うちの会社の金利って安いのか、高いのか、どうなんや?」と聞くわけにもいきません。
そもそも、自社の適用レートがいくらで、そのレートがどのように決まっているのかを正確に把握している中小企業経営者はむしろ少数派なのかもしれません。
多くの中小企業の適用レートは、変動金利で、かつ、その金融機関の短プラ連動であることが大半です。
短プラに幾らかの上乗せ分を決めておくのが通常です。
仮にメインバンクの短プラが短プラ引き上げ後2.375%で、短プラの上乗せ幅が0.750%であれば、出来上がりの適用レートは.125%という具合です。
優良先の場合は、市場連動(TIBOR3ヶ月もの)に連動する変動金利を適用していて、他方、政府系金融機関の場合、制度融資を中心に、固定金利であるケースが多くなります。
TIBOR3ヶ月もの0.2550%として、スプレッド(銀行の儲け分)0.500%とすれば、出来上がりの適用レートは0.7550%となり、短プラ連動とは違って破格のレートとなります。
このように、中小企業経営者は、少なくとも自社の適用レートがいくらで、その適用レートの決まり方をしっかり把握しておくことが必要です。
2 適用レートは信用度をダイレクトに反映する
それでは、次に、短プラの上乗せ幅やTIBOR3ヶ月ものへのスプレッドは金融機関の中で、どのように決まるのでしょうか?
この答えは、極めてシンプルで、上乗せ幅やスプレッドは、金融機関から見た債務者区分や信用格付けといった信用度をダイレクトに反映させる形で決まります。
優良先には適用レートを安くし、逆に経営改善局面の会社は高めのレート設定となります。
ドーンと赤字を計上して、実態BSベースで実質債務超過に転落したり、リスケジュールが実行されると、適用レートを引き上げることも珍しくありません。
また、一般的に、調達コストの差によって、金融機関でレートの水準に差が生じます。
当座預金、普通預金等調達コストの安い預金を多く預かっている金融機関の場合、基準レートの水準が低く設定されます。
例えば、調達コストの低いメガバンクの短プラは1.625%である一方、地方銀行は銀行によって差がありますが、概ね2%超で設定されています。
中小企業経営者は、自社の適用レートを低く維持するために、安定した収益体質と実態ベースで手厚い純資産を確保する必要があるのです。