【中小企業の銀行対策】リースの活用で設備資金の調達の多様化を図るメリットとは?
今日は、中小企業の銀行対策として、リースの活用で設備資金の調達の多様化を図るメリットについて考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 金融機関からの借入金のレートは安い
2 リースの活用で固定資産を軽くする
どうぞ、ご一読下さい。
1 金融機関からの借入金のレートは安い
業種、業態を問わず、中小企業の人手不足が深刻です。
人手不足を少しでも解消することと、省力化・省人化によるコストダウンのため、中小企業といえども前向きな設備投資が喫緊の課題です。
設備投資といっても、中小企業といっても、その規模と金額は様々です。
製造業でハイスペックな工作機械を導入すれば、生産性の向上効果は多大ですが、いかんせん、安い買い物ではありません。
下手をすれば、ハイスペックな工作機械は億単位の金額です。
運送業であっても、10トン車であれば、オプション無しの車体本体価格は20百万円近くに達します。
住宅が建つような金額の設備投資となれば、普通の経営者であれば、少々たじろいでも不思議ではありません。
設備投資の資金調達となれば、日頃からお世話になっているメインバンクにまずはおうかがいを立てるのが筋というものです。
とはいえ、民間の金融機関となれば、10年間の返済期間はかなりしんどいところもありますし、格付け次第ではありますが、金利も気になるところではあります。
民間のメインバンクだけではなく、運送業であれば政府系の商工組合中央金庫(通称、商工中金、全国の地方都市に支店があります)の制度融資を活用すれば、民間金融機関では出し得ない低金利の資金を調達できる可能性があります。
他方、リースによる資金調達も十分選択肢です。
そもそも、リース契約の場合、リース契約が締結できない設備があることを中小企業経営者の皆さんはご存知でしょうか?
リース契約は、その物件が担保となるため、いざ、リース契約が債務不履行となった場合、リース会社が引き揚げることができるような物件であることが条件です。
例えば、クルマであれば、すぐに引き揚げることができます(もちろん、リース会社は保管費用を負担しなければならなくなりますが)し、オフィスには欠かせない複合機なども撤去が比較的容易なため、リース契約が成り立ちます。
またエアコンの場合でも、家庭用のような壁掛け型のエアコンであればリース契約が可能ですが、業務用の天井に埋め込むようなタイプでは、リース契約は締結できないのです。
リース契約といっても、全ての設備に対応することができないことを中小企業経営者は認識しておくと良いかと思われます。
ただし、一般に、銀行融資に比べると、リース契約の方が実質的な金利は割高であることが多いことは念頭においておく必要があるかもしれません。
2 リースの活用で固定資産を軽くする
「割高なリースはけしからん。うちの会社は銀行借入で設備投資をすることに決めている」という経営者の方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、その方が合理的かもしれませんし、資金調達コストの観点からは、政府系を含めた金融機関からの設備資金借入金の方がリースよりも分がありそうです。
しかしながら、設備投資を銀行借入で行うと、貸借対照表(BS)上で、借方固定資産、貸方固定負債(長期借入金)がドーンと計上されてしまって、数年間に渡って減価償却費を計上していくことになります。
そうなると、総資産が膨張してしまって、自己資本比率が低下してしまい、下手をすると、金融機関の自己査定上、信用格付が少し下がってしまう恐れがないとも言えないのです。
一方、リース契約の場合、ほとんどの場合では、リース料のみが月額定額で費用計上されるため、総資産が膨張することなく、BSが軽い状態を維持することができます。
これが資金調達コストが高いリース契約のメリットです。
メインバンク等金融機関では、関連会社か子会社でリース会社を抱えているので、メインバンク担当者に「リースはどうよ?」と打診してみるのも悪くはありません。
民間金融機関では、傘下のリース会社への紹介ノルマが設定されているケースもあるので、場合によっては、渡りに船で、担当者の顔が立つようなことになるかもしれません。
また、保守・点検等のランニングコストが全てコミコミとなっているメーカー系のリース会社もあるので、まず資金調達コストを最重視しながら、ランニングコストを含めたコストパフォーマンスに優れた資金調達手段を検討することが必要なのです。