【中小企業の銀行対策】過剰債務に陥ってしまう要因とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、過剰債務に陥ってしまう要因について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 「足りないから借りる」はもう止めよう
2 長期の折り返しは極力避ける
どうぞ、ご一読下さい。
1 「足りないから借りる」はもう止めよう
「うちの会社は借入が多くてね」。
適正な借入金の水準は、業種や業態によって一概に言うことはできません。
製造業、運送業や建設業といった装置産業の場合の設備資金はどうしても必要ですが、装置産業ではない業種で借入金が多い会社の場合、借入金の資金使徒は運転資金となっていて、借入金で調達したおカネがどこに行ったのか、よくわからないというケースがなきにしもあらずです。
運転資金の借入金が多い会社のほとんどは、「足りないから借りる」ということを繰り返しています。
本来の運転資金の借入金は、在庫や売掛債権の立替分を補うものであって、在庫や売掛債権は順次おカネに変わっていきます。
これが正常な運転資金の借入金の仕組みです。
「足りないから借りる」というケースが全てダメだというつもりはありませんし、建設業の工事見合いの引当融資はどうしても必要ですが、最終工事代金で引当融資を返済するので、あくまでも借入のタームは短期です。
「足りないから借りる」ということになる原因として挙げられるのが収支の悪化による資金ショートで、言葉は悪いのですが、「悪い借金」ということができます。
「足りないから借りる」というのは、典型的な過剰債務の要因なのです。

2 長期の折り返しは極力避ける
「足りないから借りる」という場合、金融機関が比較的取り組みやすい融資が、長期の「折り返し」です。
仮に50,000千円を7年(84回)で返済する証貸があって、丁度3年間21,420千円返済した(残債28,580千円)ので、50,000千円証貸で取り組んで、内残債28,580千円を返済すると、真水で21,420千円のニューマネーを調達することができます。
この場合、月々の元本返済額595千円は変わらないので、返済負担自体は変わりません。
しかしながら、50,000千円の証貸をせっかく28,580千円にまで返済してきたのに、また借入残高は50,000千円に逆戻りです。
これを俗に「折り返し」と呼びますが、この「折り返し」こそ、過剰債務の温床となるのです。
このため、過剰債務に陥らないために、長期の折り返しは極力避けるべきなのです。
中小企業経営者は、自社が過剰債務に陥らないよう、適正な借入水準を維持するためにも、元本返済額を上回るFCFを創出し続けなければならないのです。
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご覧下さい。
