【中小企業経営者の心得】中小企業にとっての理想的な賞与とは?

中小企業経営者の心得として、中小企業にとっての理想的な賞与について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。

1 賞与は直近の試算表で判断する
2 中小企業はベースアップより賞与重視が望ましい

どうぞ、ご一読下さい。


1 賞与は直近の試算表で判断する

12月も中旬に差し掛かってきました。
多くの中小企業は、今年は12月27日が仕事納めとするケースが多いようなので、正味残り2週間強というところです。

年月の流れは年々早く感じるものです。

折もおり、昨日12月10日には大手企業や官公庁では賞与が支給されました。
大手企業での賞与支給の報道がなされてくると、中小企業で働く多くの人々も「うちの会社、今年12月のボーナスはどうなんやろ?」と気になってくるものです。
働いている本人もさることながら、家計を預かる奥方の方が「お父さん、賞与はどうなってんの?」と気もそぞろです。
住宅ローンのボーナス返済が設定されている家計では、賞与の存在は非常に大きなものです。
家計によっては、月々の返済額を抑えるために、ボーナス返済のウェイトを高めているケースも想定されます。
ボーナス返済のウェイトが高くて、賞与がゼロなんてことになると、下手をすると、12月の返済が延滞してしまいかねません。

中小企業経営者の側としても、賞与をどうするか、そもそも賞与を出して良いのものか、と考え出したら夜も眠れない程です。

中小企業の経営側としての賞与についてその判断基準について考えてみます。

そもそも賞与は「利益処分」の範疇です。
利益が出ていて、その幾らかを従業員の日頃の頑張りと士気向上を目指して支給されるべきものが賞与です。
最もわかりやすい判断材料となるのが、直近の11月、もしくは10月までの試算表です。
あくまでも試算表ベースではありますが、例えば、経常利益の2割とか、3割とかを賞与として渡すというのもわかりやすい話です。

一方、試算表上での赤字が大きくなっていたり、仮に利益が出ていたとしても、取引金融機関からリスケジュールを受けていて、元本返済を止めている会社であれば、取引金融機関への配慮から、「賞与なぞ出している場合ではない」という経営判断になり得ます。

繰り返しとなりますが、賞与はあくまでも利益処分の範疇なので、利益の一部を賞与として従業員に還元するというのが、賞与の原則なのです。


【中小企業経営者の心得】中小企業にとっての理想的な賞与とは?

2 中小企業はベースアップより賞与重視が望ましい

賞与のお話をしたので、ついでながら、世の中で盛り上がっている賃上げについても少し触れておきます。
世の中は、政労使を挙げて、賃上げに躍起です。
大手企業はこぞってベースアップを実施していて、賃上げの機運は高まる一方です。

他方、大手企業の多くでは、年功型の給与テーブル型の給与体系から従業員本人と考課者との相互評価による業績評価型の給与体系に移行しています。
給与テーブル型の給与体系が衰退している中では、実質的にはベースアップは有名無実と言っても過言ではありません。

他方、中小企業の大半は、給与体系が整備されておらず、給与は個別の従業員と経営側との個別交渉で決まっています。
このため、ベースアップを実施しにくく、一律2万円賃上げするというケースが多いように見受けられます。

一律で給与を上げるということは、一定の合理性がありますが、月額給与を一度上げてしまうと、業績が悪化した場合であっても、月額給与を下げることが従業員にとっては不利益変更になってしまい、事実上、賃下げが難しくなるというのが現実です。

このため、中小企業の場合、一律の賃上げを行うよりは、個別の業績貢献度合いに応じて、賞与の形で従業員に還元する方が合理的だと北出は考えています。

従業員の側も、会社業績がよくなると夏と冬の賞与が増えるということになれば、従業員一同、みんなで頑張ろうということにも繋がります。

中小企業の場合、賞与は、年末押し迫ってから支給されるケースが多いようです。
中には最終営業日に、現金で「寸志」を渡す中小企業も見受けられます。

中小企業経営者は、今一度、従業員を会社の重要なステークホルダーであることに再認識して、直近の業績を判断材料として、利益の一部をしっかりと従業員に還元するという姿勢を忘れてはならないのです。


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