【中小企業の銀行対策】融資審査に際して金融機関に返済原資を明確化するために必要なこととは?

今日は、融資審査に際して、金融機関に返済原資を明確化するために必要なことを考えます。

今日の論点は、以下の2点です。

1 金融機関は返済原資の出ない融資には取り組めない
2 返済原資の明確化には疏明資料の精緻さが鍵を握る

どうぞ、ご一読下さい。

1 金融機関は返済原資の出ない融資には取り組めない

銀行等の金融機関のビジネスモデルは、単純に言ってしまうと、不特定多数の預金者からお預かりした預金を原資として、資金需要のある企業や一般個人に融資をするという仕組みです。
このような銀行等のビジネスモデルは、ネットバンキングや電子化が進んだとはいえ、昭和以前の時代から基本的に変わっておらず、言ってしまえば、古典的なビジネスモデルです。

この古典的なビジネスモデルの重要な点は、いつでも不特定多数の預金者からの求めに応じて預金の払い戻すことができる健全な経営体質を維持することです。
わかりやすくいえば、銀行にとって不良債権は最大の敵であり、債権回収が銀行にとって重要な仕事であることは間違いないことなのです。

このため、新規融資先だけではなく、既往の融資先の場合でも、ニューマネー(融資の実行)を出す場合には、ちゃんと返済してもらえる(債権回収できる)ことが最重要ポイントです。
言葉を変えると、融資審査の最大のポイントが、返済原資がきっちり確保できることに尽きるのです。
なので、「この社長はいい人だから」だとか、「この会社の将来性はすごいものがある」という具合に、担保や保証に過度に依存しないような事業性評価を融資審査に取り入れようという取り組みが金融機関ではなされてはいるものの、本部の審査部や融資部といった与信所管部署の調査役や審査役からすれば、「だからと言って、不良債権を作るわけにはいかないので慎重にいけ」という保守的な審査スタイルになるのですが、これも致し方がない面があることは否めません。
したがって、審査する側からすると、目に見えにくい定性的要素よりも、決算書や試算表、資金繰り表を重視してしまいます。
そもそも回収見込みのない融資に取り組むのは、将来発生するであろう損失を見過ごすという点において、背任に当たると言われても仕方がありません。

いずれにしても、仮に実質債務超過であっても、事業性評価を重視してニューマネーを出すのに当たっても、返済原資の確保は金融機関としては譲れない重要なポイントなのです。

【中小企業の銀行対策】融資審査に際して金融機関に返済原資を明確化するために必要なこととは?

2 返済原資の明確化には疏明資料の精緻さが鍵を握る

中小企業が融資を受ける際、重要になるのが返済原資が確保されていることを上記で述べました。
それでは、返済原資が確保されていることを具体的にどのように示していくべきでしょうか。
まずは重要になるのが資金繰り表です。
短期の期日一括の繋ぎ資金であろうが、長期資金であろうが、融資を実行してもらって以降、きっちりと返済をしても資金が回ることを資金繰り表で立証する必要があります。

例えば、長期の設備資金であれば、設備投資効果を客観的に表現できるような付属資料があるとより効果的です。
建設業の引当融資(繋ぎ資金)であれば、請負契約書、請書や現場がわかるような地図なども必須です。
請負契約書、受書と資金繰り表がしっかりと整合していることも当然必要です。
資金繰り表等、会社のことを直接知らない本部の与信所管部署の調査役の目から見ても、「ちゃんと整合性が取れてるな」と納得感を持ってもらうことが重要です。
資金繰り表やその他客観的に資料のことを、金融機関では「疏明(ソメイ)資料」と呼びます。
詰まるところ、疏明資料がより客観的で整合性が取れていることこそ、返済原資の確保の立証に必要不可欠なものなのです。
尚、疏明資料の作成に関しては、弊所にて柔軟に対応させて頂いておりますので、お気軽にお声がけ下さい。

中小企業経営者は、円滑に融資審査が決裁されるためにも、面倒くさがることなく、融資の審査を受ける際には、より丁寧に疏明資料の作成に力を注ぐ必要があるのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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