【中小企業の銀行対策】個別の取引金融機関毎の借入金の詳細を把握する重要性とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、個別の取引金融機関毎の借入金の詳細を把握する重要性について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 取引金融機関毎の適用レートの違いを把握する
2 上乗せ幅(スプレッド)こそが金融機関の評価そのものである
どうぞ、ご一読下さい。
1 取引金融機関毎の適用レートの違いを把握する
小規模事業者の場合、取引金融機関が民間金融機関一行と政府系の日本政策金融公庫というケースが多いかもしれませんが、ある程度の年商規模の中小企業であれば、一行取引というのはむしろ少数派です。
一行取引と複数行取引では、それぞれメリットとデメリットがありますが、総じて言えることは、一行取引の場合、金融機関同士の競争が生まれないため、適用金利は高めに設定されてしまいがちです。
一方、複数取引の場合、メイン行、サブ行、それ以下ときちんと序列付けをすることが重要です。
平時ではメイン行、サブ行との棲み分けができていなくても格別の支障は生じませんが、経営改善が必要な局面になったりした場合には、メイン行としっかりと「御行がメイン行ですよね」と握っておかないと、「うちはメインじゃありませんよね。他行さんにご相談されてはいかがですか」みたいな感じで逃げの一手を打たれてしまうと、非常に困ったことになります。
それはさておき、複数行取引の場合、意外にも、取引金融機関によって条件に差が出てしまっているケースが少なくありません。
特に、借入のレート、金利ですが、各銀行によって資金調達の構造に差があるため、短プラ一つとっても、地方銀行であっても差が出てしまっています。
このため、短プラに上乗せする上乗せ幅(スプレッド)が同じであっても、出来上がりのレートに差が出てしまうのです。
例えば、引き上げ後の地銀A行の短プラが2.825%で、上乗せ幅が0.500%であれば、A行の出来上がりのレートは3.325%になります。
一方、地銀B行の短プラが3.150%であれば、上乗せ幅が同じように0.500%であっても、B行の出来上がりのレートは3.650%となってしまって、少なからぬ差が生じてしまうのです。

2 上乗せ幅(スプレッド)こそが金融機関の評価そのものである
もちろん、借入金の条件は、レートが全てではありません。
信用保証協会の保証付の有無、担保の保全度合い、人的保証の有無なども重要な論点です。
しかしながら、借入金のレートは、簡単に言ってしまえば、債務者区分や信用格付をそのまま反映していると言っても過言ではありません。
適用レートは、金融機関の評価をそのまま鏡に写しているとも言えるのです。
取引条件の差を金融機関毎に把握するために、基準金利、その上乗せ幅、出来上がりのレートに加えて、信用保証協会の保証付の有無、担保の徴求状況、人的保証の有無を一覧表にまとめて、比較することが早道です。
場合によっては、金利交渉をしたり、経営者保証ガイドラインに基づいて個人保証を外したりするような場合には、取引金融機関に対して、「他行さんはこのような状況です」と一覧表を提示するのも効果的かもしれません。
特に、経営者保証ガイドラインに基づいて、人的保証を外す際には、多少の金利引き上げを許容しても構わないと北出は考えています。
それだけ、人的保証を外すことは、事業承継をスムースにできるようになるなど、その効果は極めて大きいと言えます。
中小企業経営者は、取引金融機関の言いなりになるのではなく、金融機関毎の取引条件を整理して把握をすることで、金利交渉などに活かしていくことが必要なのです。

