【中小企業の銀行対策】銀行融資を受けている中小企業経営者が知っておくべき貸金業の本質とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、銀行融資を受けている中小企業経営者が知っておくべき貸金業の本質について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 我が国の銀行等金融機関はローリスクローリターン志向である
2 逆選抜こそが貸金業の本質である
どうぞ、ご一読下さい。
1 我が国の銀行等金融機関はローリスクローリターン志向である
中小企業が成長軌道を確かなものにしていくのにどうしても必要になるのが銀行融資です。
中小企業は大企業と違って、取引上、相対的に力関係が決して強いわけではないので、売掛金の回収には時間がかかる一方、買掛金は早期の支払いを求められます。
このため、増収基調の局面では、資金繰りが厳しくなってしまいます。
この状況を放置しておくと、資金ショートに陥ってしまって、黒字倒産に追い込まれかねません。
このため、増収基調では、増加運転資金という前向き資金を銀行から資金調達して、さらなる増収を実現させていくことが必要不可欠です。
また、製造業であれば、新たな生産設備を導入して、生産効率をアップさせ、省力化を実現するための設備資金がどうしても必要です。
設備資金の返済原資の多くが減価償却費となるので、どうしても長期資金を調達する必要があります。
このような前向きな設備資金も、銀行等金融機関から調達することは極めて合理的と言えるのです。
一方、我が国の銀行等金融機関は、一般の預金者から広く集めた預金を原資として、資金需要のある企業や個人に融資をして、利鞘を稼ぐことが本業です。
一般の預金者からの預金の払い戻し請求にいつでも対応できるよう、融資した資金が不良債権化することは建前上許されません。
預金者保護の観点からも、一人当たり10百万円までの預金を保護する預金保険を維持するため、3月末の預金残高に応じて、各金融機関が預金保険料を負担しているのです。
このため、欧米の多くの銀行が投資銀行で、ハゲタカのような銀行が存在一方、我が国の銀行等金融機関は商業銀行であり、ローリスクローリターンのスタンスであり続けているのです。

2 逆選抜こそが貸金業の本質である
銀行等金融機関は、不良債権を作らないことを建前上、原則としていて、そもそも回収の見込みのない融資を実行することは背任行為とされてしまい、下手をすると、支店長の手が後ろに回らないとも限りません。
このため、銀行等金融機関では、稟議制度の下、決裁権限を細かく規定して、融資事務を厳格に行うことを大前提としています。
一方、外資系金融機関や消費者金融等の貸金業者は、予め一定程度の貸倒が発生することを前提として、融資利息や極度額(融資の金額上の枠)を設定しています。
不良債権を作らないことを大前提としている我が国の銀行等金融機関は、外資系金融機関や消費者金融とは全くスタンスが違うのです。
銀行等金融機関は銀行法の縛りがあり、市中の金融業者は、財務局や都道府県に登録を行っています。
このように、銀行を含めた貸金業に許認可や登録制で行政が関与するのは、貸金業自体が極めて特殊なビジネスモデルであるが故です。
貸金業と保険だけに共通するマーケット特性が「逆選抜」です。
通常の「選抜」であれば、条件を厳しくすればするほど、質の良いものが残っていくことになります。
わかりやすく言えば、100点満点の試験があって、合格点を60点から80点に引き上げれば、60点から79点までの人は不合格となってしまいます。
合格者は、当たり前ですが、80点以上となり、より良い質の人間を選抜することができます。
ところが、貸金業はこれとは全く別のことが発生します。
具体的に言いますと、役員報酬20百万円で資産家の中小企業経営者であれば消費者金融に手をつけませんが、年収2百万円で日々の生活が苦しければ、泣く泣く、消費者金融のATMに駆け込んでしまいます。
保険も同様で、死亡保険金1億円の保険に対して、50百万円の保険料が必要となれば、健常な人はそのような保険には入りませんが、ガンを宣告され、ステージ4、余命半年であれば、半年後に遺族に1億円入るのであれば、50百万円を死ぬ気で工面して、その保険に入るかもしれません。
このように、保険と同様、貸金業は極めて難しく、特殊なビジネスモデルなのです。
中小企業経営者は、貸金業の本質を鑑みて、自社の借入金が健全か、否かを見極める必要があるのです。

