【中小企業の銀行対策】中小企業経営者が知っておくべき保証協会保証付の責任共有制度とは?

今日は、中小企業経営者が知っておくべき信用保証協会保証付融資の責任共有制度について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 金融機関にとっては信用保証協会の保証付でもノーリスク融資ではない
2 信用保証協会であっても中小企業はひたすら正常先であり続けなければならない

中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。

1 金融機関にとっては信用保証協会の保証付でもノーリスク融資ではない

中小企業経営者で、銀行等金融機関から融資を受けていれば、信用保証協会は比較的身近な存在です。
中小企業経営者が、自ら信用保証協会に赴くケースは少なく、あくまでも、基本は、中小企業経営者が、自社の融資を金融機関に打診して、取引金融機関担当者から、「保証協会に打診してみます」と言われることがほとんどですが、取引金融機関から融資を受ける際には、信用保証協会は、中小企業にとっては、切っても切れない存在と言えます。

中小企業経営者が身近な存在と思える信用保証協会ですが、直接信用保証協会と接触する機会がほとんどないため、(はて、信用保証協会ってどんなところやろう?)とふと疑問に感じることがあるかもしれません。

信用保証協会の役割といえば、早くいえば、取引金融機関から融資を受ける際の「保証人」という位置付けです。
信用保証協会の保証付融資の場合、融資先中小企業は、保証料を信用保証協会に支払います。
具体的には、融資実行時に、融資金の元本から前払いで保証料が差し引かれます。
信用保証料は、融資を受ける会社の信用度によって違いがあって、決算書の数値によって、カテゴリー(金融機関の信用格付のようなもの)が決まっていて、無担保であれば、年率0.45%から1.90%とカテゴリーによって少なからぬ差が存在します。

縁起でもありませんが、万が一、融資先が飛んでしまった場合、金融機関は信用保証協会に肩代わりをしてもらって、貸出債権が金融機関から保証協会(正確には協会サービサー)に移ります(これを「代位弁済」と呼びます)。
代弁(代位弁済を縮めてこのように呼びます)の際には、不動産等の担保も根こそぎ金融機関から保証協会に移転します。
また、代弁手続き以降は、信用保証協会(協会サービサーを含む)が、債権回収を進めるのと同時に、人的保証人(連帯保証人のこと)に連帯保証債務を求償することになります。

話があちこち飛びますが、信用保証協会は、準公的機関で、47都道府県に設置されています(例外的に、名古屋市と岐阜市は、単独で信用保証協会が存在して、例えば愛知県では、愛知県信用保証協会を「県保証」、名古屋市信用保証協会は「市保証」と呼ばれています)。
ちなみに、県保証と市保証は互いに連携していて、保証限度額は、あくまで両保証協会の合算で、2倍にはなりませんので、念のため。

中小企業経営者からすると、金融機関にとってみれば、万が一、融資先が飛んでしまっても、信用保証協会の保証がついていれば、金融機関はノーリスクであるように見えてしまいますが、実は、金融機関にとってそれほど甘いものではありません。
どういうことでしょうか。

先ほども申し上げましたが、金融機関からすれば、信用保証協会が保証してくれて、万が一の時には代位弁済して貰えばいいということになると、金融機関役職員の中には、「倒産寸前でも、信用保証協会の保証がついていたら、痛くも痒くもない」となってしまいがちです。
それでは、準公的機関である信用保証協会の財政が持たないので、一般保証等では、責任共有制度が設定されています。
一般的に、責任共有制度とは、融資先が飛んでしまった場合、信用保証協会が全額保証するのではなく、融資残債の20%相当額を金融機関が負担するようになっています。
仮に、30百万円の融資残高が不良化した場合には、信用保証協会の代位弁済額は24百万円で、金融機関の責任共有分は6百万円となります。

責任共有制度の本質は、金融機関にモラルハザードをしっかりと効かせることにあります。
尚、セーフティネット保証やコロナ資金といった緊急対応が必要となる保証制度は、信用保証協会100%負担で、金融機関の責任共有分は存在しないこともあります。

このように、信用保証協会の保証付き融資だからと言って、金融機関がノーリスクというわけでは決してないのです。

【中小企業の銀行対策】中小企業経営者が知っておくべき保証協会保証付の責任共有制度とは?

2 信用保証協会保証付であっても中小企業はひたすら正常先であり続けなければならない

責任共有制度について、上記でザクっと説明をしました。
責任共有制度は、金融機関は100%ではなく、20%を負担するということです。

言い方を変えると、信用保証協会の保証付といえども、融資額の80%が信用保証協会保証付きで、20%がプロパーと言えるかもしれません。
金融機関は、担保等で保全されていないいわゆる「裸」の部分について、正常先については問題ありませんが、概ね、その他要注意先で5%程度、要管理先で20から30%程度、破綻懸念先で50%以上の個別貸倒引当金を積んで、信頼の貸倒損失に備えなければなりません。
仮に、保証協会の保証付の一般保証の残高が50百万円の場合、その他要注意先で500千円程度、要管理先で2〜3百万円、破綻懸念先で5百万円程度の引き当てを積む必要があります。

このようなことから、中小企業経営者からすれば、「どうせ、X銀行は全額保証協会付きやから、債務超過もで文句ないやろ」とタカを括っていると、X銀行では、個別貸倒引当金を積んでいて、損失を発生させてしまっていることになるのです。

中小企業経営者は、信用保証協会の保証付融資の責任共有制度を正しく理解をし、取引金融機関に損失を発生させないようにする必要があります。
そして、プロパーだろうが、信用保証協会の保証付であろうが、BSの健全性を死守して、PLでも単年度でしっかりと利益を出していくことで、取引金融機関との良好な関係性を維持していくよう、注力しなければならないのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

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