【中小企業の銀行対策】年度の変わり目が銀行との信頼関係を深める絶好のチャンスである理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、年度の変わり目が銀行取引を深める絶好のチャンスである理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 4月は金融機関の人事異動のタイミング
2 年度変わりにかこつけてメインバンクとの接触頻度を上げる

どうぞ、ご一読下さい。

 

1 4月は金融機関の人事異動のタイミング

令和5年度は、土日の関係で、今日3月29日が実質最終日となります。
令和5年度も様々なことがありましたが、次年度は、中小企業の経営環境が少しでも好転することを祈るばかりです。

さて、週が明ければ4月、令和6年度がスタートします。
中小企業経営者としても、自社の決算期は別の月かもしれませんが、お正月のように、なんとなく、シャンとする季節です。

金融機関から融資を受けている中小企業経営者にとって、4月のイベントの一つが、取引金融機関の担当者の人事異動です。
担当者だけではなく、上席の役席(支店等の営業店の課長や支店長代理など)、次席(副支店長や次長)や部店長(支店長や営業部長)の誰かが異動となる可能性が少なからずあります。
旧担当者と新担当者は引き継ぎでは、優先順位の高い順番に融資先を訪問し、書面での引き継ぎも実施しますが、今時の引き継ぎは、たったの3、4日間の短期間で行われるために、引き継ぎの最後は、旧担当者新担当者に向かって、「後は稟議書や決算書を見といて下さい」で終わってしまうことも無きにしもあらずです。

実際、金融機関の担当者としても、人事異動は宿命のようなものと割り切っている銀行員も多いようですが、ほとんどのケースで、人事異動に内示はなく、突然、人事部から部店長に人達が届いて、初めて「俺って、ついに僻地飛ばされるのか」とガックリ肩を落とすこともあるかもしれません。
メガバンクや商工中金のような全国展開の大手金融機関は、大阪から九州への人事異動も珍しくないので、家族が帯同するのか、はたまた単身赴任かということになるので、それはそれは大変です。

他方、中小企業経営者が留意すべきことは、担当者の引き継ぎでは、良い材料はスルーされますが、悪い材料は必ず引き継がれることです。
「あの社長、なかなか約束守ってくれないので、気をつけた方がいいですよ」なんて具合です。

とはいえ、中小企業経営者も金融機関担当者も、所詮、人間対人間のことなので、どうしても好き嫌いがあったり、肌が合わないことも起こり得ます。

担当者の交代となると、中小企業経営者としてはどうしても構えてしまいますが、金融機関担当者もおっかなびっくりと言うのが本当のところです。

金融機関の部店長以上の人事異動は、日本経済新聞の朝刊に掲載されますし、一部の小規模な金融機関では公式ホームページで人事異動を告知している場合がありますので、経営者側も、融資を受けている以上、積極的に金融機関の人事に関心を払うことも必要です。

2 年度変わりにかこつけてメインバンクとの接触頻度を上げる

年度が変わるタイミングでは、営業成績も一旦リセットされたりするので、金融機関の担当者レベルでも、心機一転という機運が高まります。

なので、中小企業経営者とすると、年度変わりのこのタイミングは、取引金融機関、中でもメインバンクとの信頼関係の再構築には絶好のチャンスです。
経営者側から担当者に連絡を入れて、「年度も変わったことですし、当社も今後は、積極的に御行にディスクローズ(情報開示)をしていきたいと考えています。定期的に試算表と資金繰り表をご持参させて頂いて、当社の状況をより深くご理解いただけると助かります」と下手に出れば、金融機関担当者は喜ぶこと、間違いありません。

定期的にモニタリング(試算表や資金繰り表を定期的に提出して業況報告をすること)を回していくと、最初は、融資のローカウンターでの対応から、奥の応接室に打ち合わせの場所が変わってきたり、着任したばかりの部店長(支店長等)が「いやいや、うちの担当がいつもお世話になリまして、ありがとうございます。わたしも少し同席させて頂いてよろしいでしょうか」とお出ましになってくれれば、中小企業経営者としてはしめたものです。

弊所の場合、基本的にお客様の中小企業経営者に、北出も同行しつつ、取引金融機関に毎月モニタリングにお邪魔するようにしていますが、モニタリングを重ねていくことで、中小企業と金融機関との距離が縮まっていくことがつくづく痛感しています。

このように、せっかくの年後変わりのタイミングが到来しています。
中小企業経営者は、年度変わりにかこつけて、メインバンク以下、取引金融機関との関係をより深める絶好のチャンスと認識して、取引金融機関に対して、ディスクローズに注力していく必要があるのです。

 

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