【中小企業の銀行対策】中小企業の収益改善はコストカットが全てではない理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、中小企業の収益改善はコストカットが全てではない理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 過度なコストカットは会社の活力を削ぐ
2 収益改善は適度なコストカットと成長戦略のハイブリッド型が望ましい

どうぞ、ご一読下さい。

1 過度なコストカットは会社の活力を削ぐ

かつて、V型に収益改善を果たした会社がいくつかありました。
例を挙げるならば、会社更生法下での日本航空であり、窮地の陥った日産自動車がその代表例と言えます。
会社更生法下で日本航空を蘇生させたのは京セラの稲盛さんであり、日産自動車の救世主がカルロス・ゴーン氏です。

これらの収益改善のV字型回復には、様々な論争がありますが、この二つのV字型回復の共通項が、「人員削減」でした。
元々、日本航空は複数の労組が経営側と対立していて、労使が協調して経営改善を図ることが困難でした。
カルロス・ゴーン氏が取り込んだのが、人員削減と「脱・系列」でした。

そもそも、この2つの会社は、大企業であり、誤解を恐れずに言ってしまうと、社歴の長い余剰人員が随分存在していました。
そのような余剰人員を削減するのは極めて合理的(もちろん、労務問題は別の観点の話ですが)であったと北出は勝手に考えています。

他方、北出がお手伝いしている収益改善に取り組む中小企業に於いては、当時の日本航空や日産自動車とは趣が相当に違います。

そもそも、中小企業は、「ヒト・モノ・カネ」がいずれも不足していて、ごく一部の例外を除けば、余剰人員など、存在しません。
また、原価も、販管費も、経営改善が必要な局面に至までに、経営者が相当のコストカットに取り組んできていて、より一層のコストカットの余地は大きくないのが現実なのです。

そのような状況下で、過度なコストカットを強行しようとすると、社内の士気低下に直結して、下手をすると、会社の中でモラルハザードが蔓延してしまいかねません。
中小企業においては、過度なコストカットというのは、実はご法度だったのです。

2 収益改善は適度なコストカットと成長戦略のハイブリッド型が望ましい

とはいえ、いざ、経営改善局面となれば、トヨタ式ではないけれど、乾いた雑巾をもう一度絞るような感覚で、原価と経費のもう一段の見直しは必要です。
もしかしたら、今まで十分コストカットに取り組んできたかもしれないけれど、どこかで見落としがあるかもしれません。
もう一段のコストの見直しには取り組まなければなりません。

その上で、限られた従業員のマンパワーをフル活用すべく、ボトムアップの発想が必要です。
また、このご時世ですから、従業員の士気を上げ、優秀な人材の流出を防ぐためにも、賃上げも必要です。

このため、営業力の強化は待ったなしです。
営業担当者がいれば、坊主で帰社するようなことは許さないような闘う社風が必要です。
コストカット一辺倒ではなく、売上増を実現していくための成長戦略を練り上げ、実行していくことが必要不可欠です。

目指すべきは、適度なコストカットと成長戦略のハイブリッド型の経営改善が、中小企業にとって望ましい形です。

中小企業経営者は、経営改善への取り組みについて、取引金融機関への説明責任を全うしつつ、経営改善がコストカット一辺倒ではなく、適度なコストカットと成長戦略のハイブリッド型の経営改善を実現するため、社内の引き締めを図ることが肝要なのです。

 

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