【中小企業の銀行対策】金融機関担当者が外回りから融資係に担当替えになる理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、金融機関担当者が外回りから融資係に担当替えになる理由について考えます。

今日の論点は以下の3点。

1 金融機関営業店は大きく3つのグループに分けられる
2 外回りの役割は攻めで融資係の役割は守りである

どうぞ、ご一読下さい。

 

1 金融機関営業店は大きく3つのグループに分けられる

金融機関の営業店(支店、営業部、支社、法人営業部等)は、大きく3つのグループに分けられるのが一般的です。

1つ目は、預金課(預金係、業務課等)は、預金の入出金や振込などの為替業務、現金を管理する出納担当などで、現在では、これらの業務の多くが時給で働く非正規の従業員として働いています。

2つ目は、融資課(融資係等)で、融資の実行や稟議書作成の補佐、債権管理等を担います。
どちらかというと、融資係は地味な仕事で、リスケジュールの状態になったり、要管理先等の融資先を担当します。

3つ目は、渉外課(営業課、得意先課、渉外係等)で、既存の融資先の追加融資を行ったり、新規融資先と開拓したり、クレジットカード等の所謂「雑もの」と呼ばれる商品の推進を行っていて、謂わば「稼ぐ人たち」です。
通称、「外回り」と呼ばれる人たちです。
渉外課の銀行員は、昔は集金業務が多くを占めていましたが、最近では、融資先や新規融資見込先に足繁く通い、ビジネスマッチングやM&Aに関する提案も行います。

金融機関によって、部課制を敷いていたり、係毎で業務を行ったりしますが、概ね上記3つのグループに分けられます。

中小企業で、債務者区分が正常先であれば、基本的に取引を深耕して、他行よりも高い融資残高シェアを握るため、「外回り」が担当するのが通常です。

中小企業経営者は、取引金融機関の担当者の名刺をつぶさに観察して、所属や肩書に注目しながら、どのようなレベルの担当者が自社を担当してくれているのかを把握しておく必要があります。

2 外回りの役割は攻めで融資係の役割は守りである

中小企業経営者は、ある程度の頻度で、取引金融機関の担当者の交代を経験します。
担当者の交代で最も多いケースが、「人事異動」です。
金融機関は、歴史的に見ても、融資先との癒着や不正を防止するため、「人事異動」を発動します。
コロナ禍では、金融機関の人事異動は比較的少なかったような印象がありますが、ここへきて、金融機関によっては、大規模な人事異動を発令しています。

他方、担当者の交代でも、「人事異動ではないんですが、担当が変わります」というケースが見受けられます。
その多くが、リスケジュールによって返済条件を変更したり、赤字決算が続いて債務超過に陥ってしまうと、追加融資の余地がほとんどなくなります。
金融機関としては、追い貸しがないとなれば、基本的には債権回収に重点を置きます。

そうなると、金融機関営業店(特に、支店長等部店長)とすれば、「稼げないところに外回りが行く必要がない」ということになり、内勤の融資係が担当して、基本的に「訪問するのではなく、営業店に来店してもらえ」ということになってしまいます。

まさに、外回りの役割は「攻め」であることに対して、融資係の役目は「守り」です。

中小企業経営者は、外回りから内勤の融資係に担当替えになる場合は、「追加融資は難しい」と心得ておく必要がありそうです。
攻めの役割を果たす外回りに担当し続けてもらうためには、健全な財務体質(BS)と利益の出る会社(PL)であることに全力で注力して、次世代に安定して残せる中小企業を創造していく必要があるのです。

 

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