【中小企業の銀行対策】部門別損益計算書の作成が効果的である理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、部門別損益計算書の作成が効果的である理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 経営者自身がセグメント別の儲け具合を知る
2 部門別損益計算書を攻めの経営のツールとして使う
どうぞ、ご一読下さい。
1 経営者自身がセグメント別の儲け具合を知る
中小企業であっても、小規模事業者や小さな中小企業を除けば、複数のセグメントや事業所を有しているケースが少なくありません。
複数のセグメントといっても、中小企業の場合、セグメント相互に補完機能があったり、親和性が高かったりしますが、どうしてもA部門は儲かっているけれど、B部門はなかなか稼げていないということが珍しくありません。
一方で、部門別損益計算書を会社側が主体的に作成することは少なく、どうしても「銀行に言われたので渋々作っている」ということもなきにしもあらずです。
金融機関から部門別損益を作成するよう求められるケースはどちらかといえばネガティブな印象が先行します。
確かに、経営改善局面で、儲かっていないセグメントや事業所から撤退することへの判断材料とされることはままあることです。
確かに、赤字を垂れ流しているようなセグメントや事業所を温存することは、経営改善局面の会社にとっては致命的な傷を負わないとも限りません。
儲かっていないセグメントや事業所から撤退するかはとにかく、儲からない原因がそこにあるのであれば、経営者自らが乗り出して、猛烈な勢いでテコ入れをする必要があるのも事実です。
このように、部門別損益計算書の作成はネガティブなイメージが先行するのですが、取引金融機関に部門別損益を提出することはとにかく、経営者自身がどこが儲かっていて、どこが儲けられていないかをピンポイントで把握することが重要であることは言うまでにないことです。
商いを制するには、まず己を知ることが肝要なのです。

2 部門別損益計算書を攻めの経営のツールとして使う
上記では、一見すると、部門別損益計算書はネガティブな印象を持たれたかもしれません。
ところが、経営改善局面を脱して、収益改善が進んでいるようなケースや、経営者保証ガイドラインに基づいて経営者保証を解除するような場合でも、過去3期分に遡って作成される部門別損益計算書は、まさに「Before After」で、相当、有効です。
収益が進んで、FCF(フリーキャッシュフロー)が増加して、リスケジュールから脱してリファイナンスを勝ち取るような場合で部門別損益計算書は活躍するのです。
金融機関としては、リスケジュールから脱却してリファイナンスを実現できることは極めて喜ばしいことなのですが、金融機関の与信所管部門では、リファイナンスはしたがいいが、すぐにニューマネーの要請があったり、あるいは再び条件変更の申し出があるのではないかと疑心暗鬼になっていないとも限りません。
そのような場合、3期前には不採算であった部門が経営改善によってこれだけ収益回復を果たしましたと言うのは相当使えます。
経営者保証の解除にも同様に有効です。
もちろん、部門別損益計算書の作成に際しては、場合によっては、総勘定元帳をひっくり返して細かな損益を把握する必要があり、相当程度の労力が必要ではあります。
しかしながら、部門別損益計算をしっかりと把握するためにも、弊所を始めとした専門家の力を借りてでも、部門別損益計算書の作成をお勧めします。
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。
