【中小企業の銀行対策】できない約束は絶対してはいけない理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、できない約束は絶対してはいけない理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 金融機関に空手形を切ってはいけない
2 できることを着実にやって効果測定を欠かさない
どうぞ、ご一読下さい。
1 金融機関に空手形を切ってはいけない
中小企業といえども、経営者は経営者です。
もしも犯罪を犯して、逮捕起訴された際に、マスコミで報道される肩書は「会社経営者」です。
経営者の中には、「うちはしがない中小企業やからな」と謙遜される方がいますが、北出は、お客様の中小企業の経営者に、「中小企業経営者は、社会的には一般庶民よりもずっと高いステータスがあるのですよ」とお伝えするようにしています。
なので、中小企業を担当する外回りや融資係は「社長のおっしゃることだから」と社長の言葉を尊重しますし、敬意も払っています。
所詮、銀行員は雇われの身、一サラリーマンでしかありません。
平たくいってしまえば、「経営者の言葉は重たい」のです。
だからこそ、例えば、経営改善が必要な局面の中小企業経営者が陥った時、取引金融機関の担当者は、失礼千万とは心得ながらも、「社長、コストカットが必要ですが、どの部分をいくら、いつから削減できますか?」と迫ってくることがなきにしもあらずです。
このような場合、経営者が絶対にやってはいけないことが、「できる見込みのないことをやると言ってしまうこと」です。
もっといえば、その場を取り繕うことでもあります。
例えば、人員削減をするという約束をするとしましょう。
一言で、人員削減といっても、我が国での解雇要件は極めてハードルが高いので、会社都合で解雇するというのは余程の事情がない限り、許されません。
十分な配慮なく、半ば強制的に雇用契約を解除してしまうと、不当労働行為に該当して、労働者が労働審判に持ち込んでしまうと、会社に勝ち目はほぼありません。
余計な「解決金」の支払が必要となって、余計、資金繰りが圧迫されてしまいかねません。
取引金融機関から「どの部分をいくら、いつから削減できますか?」と迫られた場合には、明確な解決策がない限り、即答せず、「社内で検討して、1週間で回答させて頂く」という具合に一旦、逃げておくことが無難です。
肝心なことは、「1週間で回答させて頂く」と啖呵を切ったからには、必ず1週間でコストカットの具体策を明示しなければなりません。
繰り返しますが、社会的地位の高い経営者は、安易にできない約束をしてはいけません。
勝ち目のない空手形を切ってはならないのです。

2 できることを着実にやって効果測定を欠かさない
空手形を切ってはいけない理由として、取引金融機関の担当者は、面談の記録をその都度残していて、直接の上司である役席者に共有すると共に、場合によっては次席(次長や副支店長)、部店長(支店長等)にも上げられて、部店長自ら指示を飛ばすことがままあります。
その場しのぎで空手形を切ってみても、前回以前の面談記録が残されています。
また、収益改善へのアクションプランを机上で作成してみても、結果はともかく、実行に移したかどうかが検証されます。
その場しのぎの空手形を乱発するような経営者がいると、取引金融機関の部店長は担当者に「あの社長、嘘つきやから、きいつけとけよ。ニューマネーは保証協会付を前提にしとけ。プロパーは出さん」と指示を出すことになりかねません。
このようなレッテルが貼られてしまうと、今後の資金調達にも支障が出てしまうのです。
肝心なことは、実際、収益改善へのアクションプランを明確にした限り、着実に実行に移して、かつその効果測定を行うことが最も肝心なことです。
やってみて、効果測定をして想定していたような効果を得られなければ、その施策はやめてしまえばいいだけの話です。
このように、中小企業経営者は、取引金融機関に対して、できない約束を軽々にしては絶対にいけないのです。