【中小企業の銀行対策】銀行員が口にする専門用語を理解する必要性とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、銀行員が口にする専門用語を理解する必要性について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 専門用語を理解しないまま流してしまうと後々禍根を残す
2 わからなければ理解できるまで質問する
どうぞ、ご一読下さい。
1 専門用語を理解しないまま流してしまうと後々禍根を残す
弊所は、中小企業の銀行対策を行なっていて、お客様の中小企業経営者と共に、お客様の会社の取引金融機関にモニタリング(業況報告)で同行します。
その際、つくづく思い知らされるのが、「銀行員が専門用語を多用すること」です。
もちろん、取引金融機関の担当者としても、融資先の経営者を相手に話をするわけなので、なるべく平易な言葉を使おうとする努力は十二分に理解できるのですが、それでも、「そりゃ、一般人じゃその言葉は通じやんやろ」と思わせられるような言葉が担当者の口からついつい発せられてしまいます。
「当貸」、「証貸」、「スプレッドが50ベイシスで頑張らせてもらってます」とか、銀行員が口にする専門用語を挙げると枚挙にいとまがありません。
ちなみに「当貸」とは「当座貸越(トウザカシコシ)」の略で、極度額を設定して(例えば50百万円)、その極度額の範囲内ならいつでも借りられて返すことができるものです。
「証貸」とは、「証書貸付(ショウショカシツケ)」の略で、主に長期借入金の契約書にあたるのが「金銭消費貸借契約書」で、それを縮めて「ショウガシ」と読んでいます。
「スプレッドが50ベイシス」とは、TIBOR(Tokyo Inter Banku Offered Rate、東京間銀行取引金利)の3ヶ月ものに50ベイシスポイント(パーセンテージで言えば0.500%)上乗せした金利のことを指します。
一般に短プラ連動ではなく、TIBOR3ヶ月もの連動でスプレッドが50ベイシスポイントであれば、金融機関からすればかなりの優良先というイメージになります。
普通の生活の言葉の中で、「スプレッド50ベイシス」なんて言葉が発せられることはまず、あり得ません。
このように、銀行員の発する専門用語を「よくわからん話やな」とスルーしてしまうと、通常の場合には特に支障は出ませんが、有事の際には「そんなん、聞いてないで!!(怒)」ということにもなりかねません。
よくわからない銀行員が発する専門用語を聞き流してしまうと、場合によっては後々禍根を残すことにもなりかねないのです。

2 わからなければ理解できるまで質問する
このようなことが以前、ありました。
弊所が関与させていただくようになる当初の段階で、銀行員との会話を引き取って北出が会話に加わって、銀行員と話をした後、クルマに戻った社長が「北出さんと銀行員との会話のほとんどがよくわからなかったなあ・・」と本音を漏らしてくださることがあります。
その際は、北出がいわば翻訳して、わかりやすく、他の例を持ち出したりしてご説明させていただくのですが、実のところ、そんなところが正味のところです。
ならば、(今まで、どうやって会話が成立していたんやろ)と不安になるところですが、それは置いておいて、そもそも、金融機関の中小企業向け事業資金の世界は、どこまでいっても、債権債務の世界なので、一般の人に馴染みが薄いのは当然のことです。
それでは、銀行員が発するよくわからない言葉に遭遇した時にどうすべきでしょうか?
ITリテラシーの高い経営者であれば、会社に戻ったら速攻で、ネット検索を駆使して、よくわからない言葉を理解するよう、懸命の努力をされることでしょう。
しかしながら、ネット検索では、所詮一般論で語られているため、場合によっては、自社の銀行取引の実情にマッチしない可能性がなきにしもあらずです。
なので、最も手っ取り早い解決法が「銀行員にそのまま質問をぶつけること」です。
「○×さん、さっきの言葉の意味がよくわからんので、かいつまんでわかりやすく説明してくれへんか」でOKです。
普通でまともな銀行員であれば、もっと平易な言葉で、経営者が理解できるまで丁寧に説明してくれるはずです。
実際、弊所のお客様の経営者で、毎月取引金融機関にモニタリングでお邪魔していると、どんどん、銀行用語へのリテラシーが高まっていって、半年も立てば、担当者を詰められるくらいの実力を発揮されます。
銀行用語への理解が深まれば、金融機関を訪問したり、担当者の訪問を受けたりすることへのハードルがなくなります。
これこそが、中小企業経営者と金融機関担当者との信頼関係構築への最速の近道といえます。
「聞くは一時のはじ、聞かぬは一生の恥」と言います。
もしかして、経営者からすれば、自身の子供と同じくらいの若手担当者に質問をすることに抵抗を感じることがあるかもしれませんが、わからなければ聞いてしまえば良いのです。
このように、中小企業経営者は、銀行員が発する言葉への理解度を高めることが、金融リテラシーを高めるだけではなく、取引金融機関との信頼関係構築への近道であることを認識する必要があるのです。
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。
