【中小企業の銀行対策】経営改善局面で絶対に従業員と揉めてはいけない理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、経営改善局面で絶対に従業員と揉めてはいけない理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点。
1 経営側にとって労働事件は百害あって一利なし
2 ヤバいと思ったら謝る勇気が必要である
どうぞ、ご一読下さい。
1 経営側にとって労働事件は百害あって一利なし
わたくし、北出は中小企業の銀行対策コンサルタントで、労働問題の専門家ではありませんが、弊所がお手伝いしているお客様の中でも、従業員、あるいは元従業員とのトラブルに見舞われるケースが散見されます。
いつしか、労働者の立場は強くなり、特に、中小企業の場合、経営側の方が立場が弱くなっているとも見て取れます。
社外労組が介入してきたり、労働審判や裁判に持っていかれると、ほとんどのケースで経営側の方が不利になってしまいがちです。
労働事件が起こってしまうと、最終的には「解決金」なる不思議な金銭解決になってしまいます。
特に、経営改善局面にある中小企業の場合、解決金の支払負担によって、経営改善の道が狂ってしまいかねません。
解決金を支払うくらいなら、借入金の返済に充当した方がずっと有益ですし、借入金の返済に回さなくても、真面目に働いてくれている従業員の士気を高めるための福利厚生におカネを使うべきです。
実際、解決金をいざ支払ってしまうと、雑損失等の営業外費用や特別損失が発生してしまいます。
試算表上にも雑損失が計上されるので、取引金融機関担当者から、「社長、この雑損失って中身はなんですか?」と指摘を受ける可能性が高まります。
なんといっても、無意味なキャッシュが流出するのは、会社にとって大きな損害です。
経営改善にも影響を与えかねません。
労働事件は、銀行対策上でも間違いなくマイナスに作用します。
取引金融機関としても、担当者にも武店長にもネガティブな心証しか残しません。
他方、経営改善を無理に進めようとすると、必要以上のリストラに踏み切ってしまって、モラルハザードが発生してしまう懸念も払拭できません。
コストカットを優先し過ぎてしまうと、現場の士気が落ちてしまいます。
乗客を死に追いやった知床の船会社の例がその典型的な例です。
とはいえ、経営側が真摯な姿勢で会社の舵取りをしていても、悪意のある従業員、あるいは元従業員がいないとも限りません。
いずれにしても労働事件は、経営側に百害あって一利ないのです。
2 ヤバいと思ったら謝る勇気が必要である
労働事件に発展するケースは様々です。
従業員、あるいは元従業員が突然キレる場合もあれば、静かにしていて、いきなり本人の代理人から内容証明が届いたり、訴状が届くことも想定されます。
労働事件のきっかけは一概には言えませんが、もしも経営側に少しでも「ヤバ、ちょっと言い過ぎた」という意識があれば、率直に謝ることも排除すべきではありません。
「ヤバ、ちょっと言い過ぎた」という意識は、別に労働者に向けてだけではなく、取引先に対しても起こりうることです。
いきなり経営者が謝るというのは、それはそれで得策ではありませんが、管理職や番頭格が経営側の姿勢として、「ちょっと言い過ぎた」といって相手方に譲歩することが有効なケースもなきにしもあらずです。
労働事件に限らず、会社を巡るトラブルは、会社の持続可能性に悪影響を与えます。
中小企業経営者は、相手方がどのような相手であろうとも、真摯で、誠実さを見せる度量が必要なのです。