【中小企業の銀行対策】資産圧縮と負債増加がキャッシュを産む理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、資産圧縮と負債増加がキャッシュを産む理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 資産圧縮は中小企業の喫緊の経営課題である
2 負債増加はキャッシュを産むがBSを痛める
どうぞ、ご一読下さい。
1 資産圧縮は中小企業の喫緊の経営課題である
金融機関から融資を受けている中小企業にとって、資産の圧縮は喫緊の経営課題です。
資産の増加はキャッシュを減らします。
このため、営業担当に債権回収の重要さを認識させ、売掛金を早期回収することで、資産は圧縮され、キャッシュが増加します。
ましてや、信用保証料や家賃などの適正なものを除いた前払費用や、立替金、仮払金、貸付金はキャッシュの流出を招きますし、前払費用、立替金、仮払金などは費用性の資産なので、金融機関の自己査定上、実態BSを傷めます。
費用性資産や資産性のない資産は、押し並べて、中小企業にとって百害あって一利ないのです。
社長やその一族向けの貸付金が計上されていれば、役員報酬を増額して、増額分を貸付金の返済に充当することも検討すべきです(役員報酬の増額は住民税や社会保険料の増加をもたらします)。
資産を圧縮して、総資産をコンパクトにすれば、資金効率が上がって、資金繰り余力の向上につながります。
中小企業経営者は、資産圧縮を経営課題と位置付け、資産圧縮を強力に推進していく必要があります。
2 負債増加はキャッシュを産むがBSを痛める
キャッシュを増やす手段として、資産を圧縮することに加えて、負債を増やすことが挙げられます。
例えば、仕入先への支払サイトを長くすれば、買掛金や未払金が増えますし、新たに手形を切れば、支払手形が計上されます。
運転資金の借入金を金融機関に実行してもらえば、実行と同時に当座預金や普通預金の残高がドカッと増えます。
確かに負債を増やせば、キャッシュは間違いなく増えるのです。
しかしながら、多くの中小企業経営者が負債を増加することに躊躇するはずです。
増加させた負債は劣後ローンのようなものを除けば、そう遠くないうちに支払が発生したり、返済がスタートします。
増やした負債はなかなか減らないのです。
その理由は、増やした負債の債権者は、どこも「お支払いは結構です」とは言ってくれないからです。
負債の増加は、BS(貸借対照表)を傷めます。
当たり前に、自己資本比率が低下します。
キャッシュを増やすために、負債を増加させることに躊躇する中小企業経営者の感覚は至極、真っ当なものなのです。
とはいえ、会社が経営破綻に追い込まれる根本的な原因は「おカネがなくなること」です。
結論としては、負債を圧縮することに注力することで、キャッシュが減少しますが、そのキャッシュの減少分を資産の圧縮による資産効率向上で補うことがキャッシュフロー経営の本質なのかもしれません。
このように、中小企業経営者は、BSのバランスに配慮しながら、キャッシュをしっかりと確保していくことに注力する必要があるのです。