【中小企業の銀行対策】自社のコストアップの状況把握の重要性とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、自社のコストアップの状況把握の重要性について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 コストアップは原価高だけではない
2 コストアップの自社吸収には限界がある
どうぞ、ご一読下さい。
1 コストアップは原価高だけではない
一方的に進行した外国為替市場での円安は一旦落ち着き、トランプ効果(?)もあって、ここにきて、若干の円高傾向が見受けられます。
しかしながら、円安で一度上がってしまったコストはなかなか下がりません。
メーカーも卸も強気で、「値上げをのんでくれないのなら、うちはもう結構ですから」とデフレ下では考えられなかったような営業姿勢です。
他方、売上原価が発生する製造業、建設業や運送業の場合、経営者は「原価にシビア」です。
確かに、売上原価はコストに占めるウェイトが圧倒的に高くて、原価低減と原価コントロールが収益確保の鍵であると言っても過言ではありません。
リードタイムが長く、短期の繋ぎ資金を調達している建設業や製造業の場合には、原価管理こそが生命線です。
原価管理が不十分で、仕事が終わって蓋を開けてみたら、原価が予算を大きく逸脱してしまっていては、繋ぎ資金の返済にも支障が出かねません。
ところが、企業間物価がこれほどまでに上昇してくると、原価管理だけでは、収益確保がおぼつかなくなってきています。
コストの中ではウェイトの低かった販管費の中身にも本格的に首を突っ込んで、コストカットの余地を検証する必要が出てきます。
もちろん、販管費のカットは金額的には大したものではありません。
とはいえ、塵も積もれば山となるではありませんが、ボールペン一本、コピー用紙1枚でさえ、経営者層だけではなく、会社を挙げて、コスト意識を持つことが必要となってきました。
水道光熱費の上昇とて、無視できなくなってきました。
このため、たとえば、過去1年間の試算表を会計事務所からCSVに落としてもらって、1年間の各コストの平均値をエクセルで計算して、コストの上昇トレンドを把握することも効果的です。
もはや、コストカットは原価のみとどまらず、販管費にも広く手を広げなければならなくなっているのです。
2 コストアップの自社吸収には限界がある
これだけの諸々のコストアップを自社で吸収することはほぼ限界に近づいています。
少なくとも、中小企業であれば、常日頃から、コスト重視で、経営者も従業員にコストカットの重要性を説いてきているはずです。
特に、金融機関も融資先のコストアップを懸念しています。
北出がお客様の中小企業経営者と共に、金融機関にお邪魔をして、月次モニタリングをさせていただいていても、コストアップは必ずと言っていいほど、話題になります。
間違っても、中小企業がコストアップの道連れとして、犠牲になってはいけません。
このため、中小製造業には厳しいですが、更なる品質確保と納期遵守を材料にして、粘り強く、加工賃の引き上げ交渉を行う必要があります。
運送業であっても、荷主にしっかりと値上げ交渉をしなければなりません。
ここぞの値上げ交渉は営業担当者任せにすることなく、経営者自らがお客様と掛け合う必要があります。
原材料は販管費だけではなく、人件費は上昇するトレンドです。
中小企業経営者は、お客様のニーズをしっかりと満たすことで、値上げ交渉に臨んでいく必要があるのです。