【中小企業の銀行対策】取引金融機関担当者の交代時に心得ておくべきこととは?
今日は、中小企業の銀行対策として、取引金融機関担当者の交代時に心得ておくべきことについて考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 前担当者からの引き継ぎはあてにできない
2 新担当者と信頼関係を早く築くべし
どうぞ、ご一読下さい。
1 前担当者からの引き継ぎはあてにできない
中小企業の場合、事業所の数が本社のみという会社が多かったりするので、人事異動は特段の事情がない限り、実施されることは稀です。
他方で、金融機関の場合、担当者ベースで長くて3年半から4年、部店長クラス(支店長等)では2年程度で人事異動が発令されます。
このため、定期的なモニタリングを実施していないような中小企業の場合、メインバンク担当者であっても、疎遠がちなって、あっという間に人事異動で担当者が変わってしまいます。
定期的なモニタリングによって打ち合わせを重ねていても、ようやく信頼関係ができてきたと思っていたら、人事異動が発令されてしまいます。
金融機関の人事異動が他の企業よりも頻繁に実施される背景には、不正防止と融資先との癒着阻止が挙げられますが、確かに、広島の野村證券、東京の三菱UFJ銀行で発生した不祥事に関する報道を目の当たりにすると、おカネを扱う金融機関である以上、定期的な人事異動はどうしても必要なものなのだと合点がいきます。
人事異動による担当者交代に際しては、旧担当者から新担当者への引き継ぎが行われます。
実際の引き継ぎでは、新旧担当者が同行で取引先に挨拶回りをする他、個々の取引先の状況を旧担当者が新担当者に伝達します。
最近の新旧担当者の引き継ぎは、段々日程がタイトになっている傾向が見受けられます。
担当者ベースでの引き継ぎは概ね3日間がせいぜいで、実際のところは、「細かいところは稟議書と添付資料を読んどいて下さい」で済まされているケースがなきにしもあらずです。
このため、担当者交代時には、中小企業経営者は、新担当者に一からこれまでの取引の経緯や現状について説明するくらいの覚悟が必要です。
このように、前担当者から新担当者への引き継ぎは必ずしもあてにならないことを中小企業経営者は認識しておく必要があるのです。
2 新担当者と信頼関係を早く築くべし
引き継ぎを終えた取引金融機関担当者は、新しい取引金融機関のカウンターパートナーです。
中小企業と金融機関との関係は、あくまでも組織対組織ではありますが、実際は、経営者と担当者という生身の人間同士とのお付き合いです。
このため、場合によっては、「こいつとは、肌が合わん」とか、「生意気な奴め」と好き嫌いがあっても不思議ではありません。
とはいえ、金融機関担当者は、所詮、サラリーマンである一方、中小企業経営者は、「会社経営者」なので、中小企業経営者がサラリーマンをコケにするようなことがあってはなりません。
因みに、新旧担当者の引き継ぎ時には、良い先はとにかく、「ここだけは気いつけた方がええですよ」というネガティブ情報は着実に引き継がれます。
ネガティブ情報が新担当者に引き継がれてしまうと、最初から新担当者が構えてしまうので、中小企業経営者としては、ネガティブ情報に載らないよう、常日頃から担当者とコミュニケーションをとることが必要です。
他方、新担当者と打ち合わせをする際には、肝心な用件をもんだ後には、少しでも雑談をしてみるのも悪くはありません。
雑談の中で、意外な共通点を発見できたり、共感する部分があったりする他、下手をすると、母校の先輩、後輩であったりするかもしれません。
中小企業経営者は、取引金融機関担当者と人間的な信頼関係を構築することで、取引金融機関との円満な関係作りに注力すべきなのです。