【中小企業の銀行対策】昨日から短プラが引き上げられていることを認識すべき理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、昨日から短プラが引き上げられていることを認識すべき理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 短プラ連動は問答無用で金利が引き上げられる
2 金利上昇による支払利息増は固定費増加に直結する
どうぞ、ご一読下さい。
1 短プラ連動は問答無用で金利が引き上げられる
今年の3月1日は土曜日であったため、実質的な月初は、昨日の3月3日でした。
3月は世の中年度末モードなので、何かと気忙しくなりますが、既に発表されている通り、昨日3月3日、多くの銀行で短プラが引き上げられました。
短プラ引き上げを実施したのは、3メガバンクのうち、三菱UFJ銀行とみずほ銀行、関西2府4県に本店を置く地方銀行では関西みらい銀行、滋賀銀行、南都銀行、紀陽銀行、その周辺の県に本店を置いている中国銀行、十六銀行、百五銀行、阿波銀行、鳥取銀行などとなっています。
去年の秋の短プラ引き上げ第一弾よりも、各銀行の引き上げ対応が早くなったように感じられます。
北出の勝手な印象ですが、短プラ引き上げ第一弾の際、多くの融資先の反応が、「ま、このご時世やから、仕方ありませんよね」となって、強烈な拒否反応はほとんどなかったのではないかと考えています。
コロナ資金のような制度融資と超優良先で市場金利(TIBOR等)連動を除けば、ほとんどの中小企業では、適用レートは、短プラ連動となっています。
信用格付や債務者区分に応じて、短プラの上乗せ幅(優良先はアンダープライムもありえます)が決まります。
A社は、正常先で、信用格付も比較的高いため、短プラプラス0.125%となっている一方で、B社は、実態ベースで資産超過を維持しているものの、一時的に赤字が出ていて、債務者区分が「その他要注意先」となっているため、短プラに上乗せ幅が1.000%となっていたりします。
つまり、出来上がりのレートが短プラにいくら上乗せされているかという点が最も重要で、上乗せ幅から、取引金融機関の取組スタンスが一目瞭然でわかってしまいます。
それはとにかく、昨日以降、短プラを引き上げた金融機関からの借入レートは、問答無用で、0.250%引き上げ済みとなっているのです。

2 金利上昇による支払利息増は固定費増加に直結する
上記の金融機関では、申し上げました通り、昨日から、適用レートが引き上げられました。
上記以外の金融機関も来週以降、順次短プラ引き上げに踏み切っていきます。
金融機関の支払利息は日割りで計算されて、間もなく、融資先各社に支払利息を見直した新たな返済予定表が送付されます。
残念なことに、今の日本銀行の姿勢からすると、今後、金利は上がることはあれど、引き下げられるようなことは、大震災のような天変地異がない限り期待薄です。
このため、支払利息は今後、増加していくことになり、固定費として収益圧迫要因となることが懸念されます。
もちろん、長期資金の場合、約定返済を進めていくことで支払利息を抑制することができますが、昨年夏以降、通算の短プラ引き上げ幅は0.400%に達しています。
今後、さらに、金利が引き上げられていくことを想定すると、支払利息の増加を「大した金額やない」と片付けてしまってはなりません。
北出は、平素、大阪でコンサルの仕事をしているのですが、万博効果もあり、不動産投資が相当程度積極的に行われていて、地価上昇も続いています。
30年以上も前のバブルとその崩壊の教訓から、金利を予防的に引き上げていくのは、日銀等政策当局からすれば当然のことと言えるかもしれません。
とはいえ、中小企業にとっては、支払利息の増加は見過ごせない収益圧迫要因です。
本業を研ぎ澄ますことによって、支払利息の増加を吸収してあまりあるような増益を実現することが、今の中小企業経営者に必要なことなのです。