【中小企業の銀行対策】短プラ引き上げ後の返済予定表をスルーしてはいけない理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、短プラ引き上げ後の返済予定表をスルーしてはいけない理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。

1 年率0.250%の金利引き上げを甘く見てはいけない
2 支払利息は固定費そのものである

どうぞ、ご一読下さい。


1 年率0.250%の金利引き上げを甘く見てはいけない

世の中、ゴールデンウィークに突入して、自動車を中心に大手製造業は最大11連休の休みに入っていることもあり、書き入れ時のサービス業以外は、なんとなく開店休業状態になっているかもしれません。

そんな中、先月メガバンクと地方銀行各行が実施した短プラ引き上げが一巡して、中小企業各社には、短プラ引き上げ後の返済予定表が金融機関から郵送され、短プラ引き上げ後の返済予定表が出揃ったところです。

金融機関によって、資金調達コストに差があるため、短プラのレートは金融機関によってマチマチですが、概ね調達コストの安い流動性預金(当座預金や普通預金等)のウェイトの高いメガバンクや地銀大手行の短プラのレートは、調達コストの高い固定性預金(定期預金等)のウェイトの高い地銀中位、下位行よりも低い傾向があります。

とはいえ、各行ともに、短プラの引き上げ幅は揃いも揃って年率0.250%となっていて、かつての護送船団方式の名残を垣間見るような思いではありますあ。

この今回の担プラ引き上げ幅は年率0.250%となっていて、借入残高が1億円であれば、年間の支払利息の増加額は250千円で、月額にすれば21千円ほどです。
中小企業経営者の中には、「たかだか月額12千円なら大した金額やない」と一蹴する方がいらっしゃるかもしれませんが、そのように楽観視するのは少々危険です。

なぜなら、短プラ引き上げは昨年の秋以降2回目で、昨年秋からの通算の短プラ引き上げ幅は0.400%になります。
先ほどの例で言えば、借入残高1億円であれば、支払利息の増加額は年間400千円、月額33千円です。
借入残高が5億円であれば、年間2,000千円、月額167千円の支払利息の増加となります。
年間2,000千円となれば、非正規従業員3人分の人件費に相当するので、中小企業経営者と言っても、無視できる金額ではありません。
善良は中小企業経営者は、日々、経費の適正化に取り組んでいるはずなので、支払利息の増加はいわば「手痛い出費」です。

このように、今回の年率0.250%の金利引き上げを甘く見ては絶対にいけないのです。

【中小企業の銀行対策】短プラ引き上げ後の返済予定表をスルーしてはいけない理由とは?

2 支払利息は固定費そのものである

支払利息は、借入残高に適用レートを掛け算して、日割りで計算するので、返済が進んでいくことで支払利息は減少していきます。

ところが、出来上がりの適用レートそのものが引き上げられているので、短プラ引き上げ前の支払利息よりも増加してしまうのです。

さらに、困ったことに、アベノミクスが事実上終了して、円高上昇圧力が強まっていることで、一辺倒の短期金利の上昇は落ち着いているように見えます。
しかしながら、金利のつく世の中になっていることは間違いなく、アベノミクスの時のように、ジャブジャブの金融緩和の再来は見込めませんし、ジャブジャブの金融緩和はやっぱりどう見ても無理がありました。

このため、短プラがこの先下がるようなことは見込めず、むしろ、第3弾、第4弾の短プラ引き上げが起こる可能性の方が高いのです。

こうしたことから、支払利息が減少することは望み薄で、支払利息そのものが固定費化することは間違いありません。

単純に、支払利息の増加分だけ、経常利益が減少します。
支払利息の増加分を見込んだ増益策を早期に立案し、速攻で実行に移していくことが必要です。

中小企業経営者は、新たに金融機関から郵送されてきた短プラ引き上げ後の返済予定表をじっくりと見直して支払利息の増加を実感すると共に、支払利息を固定費そのものであると認識して、経常損益での減益を回避しなければならないのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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