【中小企業の銀行対策】中小企業経営者にとって適正な役員報酬とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、中小企業経営者にとって適正な役員報酬の水準について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。

1 多額の役員報酬は会社を痛める
2 必要以上の役員報酬削減は控えるべき

どうぞ、ご一読下さい。

1 多額の役員報酬は会社を痛める

「うちの会社の役員報酬はどのくらいが適正なのだろうか?」
オーナー経営者にとっては、悩ましいところです。
経営者にしてオーナー(株主)なのだから、利益が出れば、役員報酬を可能な限り増額するという考え方があります。

ところが、役員報酬を必要以上に多額にするというのは、融資を受けている取引金融機関を含めて、「それはちょっと考えものでは?」という風潮がなきにしもあらずです。
もっとも、この手の議論は、「会社はそもそも誰のもの?』という根源的な論争に発展するものであって、永遠の課題とも言えるものです。

日本の中小企業は、アングロサクソンの国々のそれとは違い、従業員、取引先等関わるステークホルダーと共に、「和をもって尊しとなす」という温和な文化がしっくりきます。
経営者兼株主が、一人会社の儲けを独占するというのでは、内部留保の蓄積が不十分になりがちで、取引金融機関の債務者区分や信用格付けの向上にはつながりません。
また、従業員からしても、「どうせ俺らが頑張っても、俺らには恩恵はないし、喜ぶのは社長とそのファミリーだけ」ということになると、従業員のモチベーションが上がることはありません。

標準的な日本の中小企業のオーナーへの役員報酬は、日常生活に支障が出ず、利益がしっかりと出れば、利益を社外流出させることなく、内部留保として蓄積していくことが無難なように感じられます。

【中小企業の銀行対策】中小企業経営者にとって適正な役員報酬とは?

2 必要以上の役員報酬削減は控えるべき

一方で、外部要因の脅威の影響をモロに受けて、収益が悪化、経営改善局面に陥ったり、取引金融機関からリスケジュールを受けるようになる場合、真面目な経営者ほど、銀行の手前、役員報酬を減額せねばという意識が強まります。
とはいえ、経営者にも家族があり、日常生活があるので、そう易々とは生活水準を落とすことはできません。

必要以上に役員報酬を削減してしまうと、役員報酬だけでは日常生活に支障が出かねなくなります。
経営者にとって、財布は会社なので、役員報酬で足らずまいを会社の資金を結果的に流用することになってしまいます。
こうなると、会社の資金が貸付金として流出したり、存在しない現金が計上されたままということになりかねません。

代表者向けの貸付金は、実態BSを傷めてしまうので、貸付金の発生、拡大は、経営改善の大きな足枷となってしまいます。

もちろん、経営改善局面に陥った結果責任として、経営責任を明確化するべく、役員報酬を減額することは債権者にはポジティブなメッセージとなりますが、必要以上の役員報酬の削減は控えなければなりません。

中小企業経営者は、経営改善局面に陥らないよう、経営判断を下していく必要がある一方、自社の適正な役員報酬の水準で、役員報酬を設定する必要があるのです。


資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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