【中小企業の銀行対策】更なるコストアップに備えなければならない理由とは?
今日は、中小企業経営者の心得として、更なるコストアップに備えなければならない理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 また支払利息が増えるかもしれない
2 人件費の高騰も無視できない
どうぞ、ご一読下さい。
1 また支払利息が増えるかもしれない
世界の金融市場がきな臭くなってきました。
米国の中央銀行理事が、トランプ大統領の意に沿わないとして、事実上解任され、ドル安誘導、米国での市場金利の低下が現実味を帯びてきました。
ドル安誘導によって、日本円が相対的に買われて、我が国の市場金利の上昇圧力が高まる可能性がなきにしもあらずです。
もしかすると、年内に、銀行の短プラの第三弾引き上げが実施される可能性が高まるかもしれません。
去年の秋以降の短プラ引き上げ幅は、去年の秋で年率0.150%、今年の春で年率0.250%でトータルの短プラ引き上げは0.400%となっています。
年率0.400%と言えば、借入残高1億円で、支払利息の年間増加額は400千円です。
「400千円も上がるのか?」と受け止める経営者いれば、「400千円は大金でえらいこっちゃ」と深刻に受け取る方もいるかもしれません。
ただ、確かに言えることは、支払利息の増加は、一時的なものではなく、ずっと続くものなので、ジワジワっとボディブローのように、中小企業の収益圧迫要因となり得るのです。
また、現に、引き上げ幅が広がっていて、その理由の一つが、短プラを引き上げる金融機関側が、実に久々の短プラ引き上げが、融資先にどのような影響が及ぶのかを見極めたかった節がありました。
しかしながら、2回目ともなれば、「どうってことないか」と言うことで、短プラ引き上げ幅が広がったという向きもなきにしもあらずです。
もちろん、いつ、どのくらいの金利引き上げがなされるかは今は予断を持って言うことはできませんが、現物の象徴と言える金が史上最高値を更新していることは見逃せません。
中小企業経営者は、自社の取引金融機関の短プラのレートをしっかりと把握をしつつ、市場金利が上がって、いつ支払利息が増加するかわからないと危機感を持つ必要がありそうです。

2 人件費の高騰も無視できない
中小企業のコストアップは、支払利息の増加だけにとどまりません。
中小企業にとって、待ったなしの切実なコストアップが人件費の高騰です。
特に、飲食業や小売業など、非正規従業員のウェイトが高い業種の場合、最低賃金の引き上げは待ったなしのコストアップです。
弊所が所在する大阪府の場合、今年の10月16日から、最低賃金が現在の時給1,114円から1,177円に引き上げられます。
引き上げ幅は実に、63円に達し、全国でも屈指の最低賃金の高さです。
人手不足を反映して、最低賃金ギリギリでは、求人を出しても問い合わせの電話1本も鳴りません。
実際の店舗での時給引き上げ幅は63円を上回ることが予想されます。
中小企業にとって最低賃金の引き上げが辛いところなのが、最低賃金の引き上げ幅に生産性向上がついてきていない点にあります。
街中のビルや商業施設の中では、お掃除ロボが当たり前のように活躍しているのを見るにつけ、今こそ、省力化を実現するための設備投資が、中小企業の生産性向上にどうしても必要なものだと言わざるを得ません。
支払利息、人件費の他にも、原材料や光熱費も高止まったままです。
中小企業経営者は、コストアップに負けないよう、自社の生産性向上への弛まぬ努力を尽くすと共に、取引金融機関の協力を得て、省力化を実現するための設備投資を積極的に行う必要があるのです。