【中小建設業の銀行対策】中小建設業がリスケジュールを回避しなければならない理由とは?

今日は、中小建設業の銀行対策として、中小建設業がリスケジュールを回避しなければならない理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 建設業の資金繰りは業種柄特殊である
2 リスケジュールを回避する基本的行動は原価管理の徹底に尽きる

どうぞ、ご一読下さい。

1 建設業の資金繰りは業種柄特殊である

弊所は、中小企業の銀行対策の仕事をさせて頂いていますが、弊所のお客様(関与先)で最も数が多いのが建設業です。
建設業でも、特に役所や一般施主からの元請建設業をお手伝いすることが多いのですが、建設業の資金繰りは一言で言ってしまうと、他の業種と比較しても「特殊」です。
なぜ、建設業の資金繰りが特殊なのでしょうか。

通常、元請建設業の場合、着工時に着工金を施主さんから受領して、残りを完工、検査後となることが大半です。
また、一般施主さんからの住宅の場合、着工時3割、上棟時3割、完工時4割と言うのが相場です。
他方、元請業者から下請けで仕事を請け負うケースでは、工事の進捗見合いで毎月請求を起こして、工事の進捗度合いで工事代金を受領するケースもあります。

いずれの場合でも、材料屋さんや外注業者への支払が先行します。
材料屋さんに先行して支払をしないと材料を納品しれくれませんし、外注業者への支払が後払いとなれば、外注業者の親方の機嫌が悪くなったり、職人さんの動きがどうしても鈍くなってしまいます。
工事を工期を切らず、円滑に現場を進捗させるためにも、材料費と外注費の先行支払いは必須なのです。

建設業はそもそも動くおカネが大きいことも相まって、このような資金繰りは、他の業種ではあまり見られず、建設業特有の特殊な商慣習なのです。

【中小建設業の銀行対策】中小建設業がリスケジュールを回避しなければならない理由とは?

2 リスケジュールを回避する基本的行動は原価管理の徹底に尽きる

先ほど申し上げましたが、建設業は、基本的に工事代金は後から受領する一方、支払が容赦無く先行します。
このため、中小建設業でも、当座預金の平残(平均残高)が1億も2億もあれば良いのですが、基本的に立替資金を金融機関から短期資金として調達する必要があります。
このような資金を引当融資だとか、紐付融資とか呼びますが、引当融資は、工事代金が入金されると即返済となります。
しかしながら、例えば、工期が遅延しそうになり割高な応援を使ったりして外注費が嵩んだり、現場でものを壊してしまって賠償しなければならなくなったりすると、当初の実行予算よりも実際の原価の方が大きく上回ってしまう恐れがあります。
最悪の場合、「この資金で短期資金を返済してしまうと、手形が落とせないとか、給料が払えないので、返済を待ってくれ」と言うことになると、短期資金を実行した金融機関は激怒してしまいます。
逆鱗に触れた支店長が、担当者を捕まえて「あそこには金輪際、一切、引当は出さんから覚えとけよ」とキレまる事態を招きます。

さらには、採算割れの工事が続いて赤字決算となって、長期借入金の返済に耐えられなくなり、やむなくリスケジュールに追い込まれてしまうと、基本、追加融資は出なくなるので、工事見合いの引当融資も調達できなくなってしまいます。
引当融資が調達できなくなると、まとまった工事が受注できなくなるので、受注機会の喪失にも直結します。
リスケジュール前の商いの規模感を維持できなくなる可能性が高まるのです。

中小建設業の経営者は、工事見合いの引当融資を取引金融機関から安定的でスムーズに調達するためにも、原価管理の徹底を会社を挙げて取り組む必要があるのです。

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