【中小企業経営者の心得】5%の賃上げが5年後に収益に与える恐るべきインパクトとは?
今日は、中小企業経営者の心得として、5%の賃上げが5年後に収益に与える恐るべきインパクトについて考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 5%の賃上げは複利で増加する
2 5%賃上げの影響を軽減するための省力化設備投資は必須である
どうぞ、ご一読下さい。
1 5%の賃上げは複利で増加する
年度末から新年度にかけて、大手企業を中心に、労組を形成する会社では、春闘で妥結した賃上げが実施されます。
ともすれば、政労使挙げた官製賃上げともいうべきもので、多くの中小企業経営者は、違和感を感じているでしょうが、働く側の労働者側とすれば、「なんでうちの会社って報道されているような賃上げをしてくれないんやろ」と疑問を持つ従業員もなきにしもあらずです。
もちろん、真面目で誠意ある中小企業経営者は、日頃の従業員の頑張りに報いるため、少しでも賃上げをしてあげたい気持ちになりますが、円安の影響から原材料高で、諸経費全般も上昇しているこのご時世に、大手企業並みの賃上げを中小企業が行うことはなかなか現実的ではありません。
しかしながら、なんとか今年だけでも、5%の賃上げを実施するとなると、仮に大阪府の最低賃金が1,177円なので、5%賃上げをするとなると時給は1,236円となります。
もしも持続的に向こう5年間5%賃上げを実施しようとした場合、5年間5%なのだから、25%アップと思いがちですが、実はそうではありません。
1年目に5%賃上げすれば、2年目は1年目に賃上げした時給にさらに5%上乗せすることになります。
わかりやすく言えば、賃上げは単利ではなく、「複利」なので、2年目は10.0%ではなく10.3%、3年目は15.0%ではなく15.8%、4年目は20.0%ではなく21.6%、5年目は25.0%ではなく、27.6%にまで達するのです。
複利、恐るべしです。
製造業の場合、労務費が5%先に現場の1.276倍になれば、おそらく親会社(元請会社)は製造現場として我が国を見捨てざるを得なくなります。
中国はおろか、ベトナムか、カンボジアか、はたまたバングラディシュか、アジアの新興国に製造現場を求めざるを得なくなってしまいます。
その点、サービス業は比較的臨機応変に値決めができるかもしれませんが、下請の中小製造業にとって、5%賃上げは命取りになりかねないのです。

2 5%賃上げの影響を軽減するための省力化設備投資は必須である
こうした状況を打開するために、必要となるのが、生産性向上と省力化を実現するための設備投資です。
生産性向上と省力化のための設備投資は、少額というわけにはいかないため、取引金融機関、中でもメインバンクから理解を得て、設備資金の資金調達を行うことが避けて通れません。
金融機関としては、設備投資にかかる設備資金は、償還年数が長期にわたるため、設備投資効果を見極める必要性に迫られます。
加えて、長期の返済に耐えうるような健全な財務体質も必須です。
設備投資の成否は、メインバンクの協力が鍵となります。
このため、メインバンクとの接触が決算書が出来上がった年一回というのは全くいただけません。
長期の設備資金に対応してもらうためには、日頃から業況報告を行い、設備投資の必要性をメインバンクに認識してもらうことが何より大切です。
今後も賃上げが当たり前という風潮は続くことになりそうです。
生産性アップと省力化への設備投資は、そんな先の話ではありません。
賃上げが十分できず、優秀な人材が流出する前に、今の段階から設備投資を見据えた資金調達の道筋をつけていく必要があるのです。
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

