【中小企業の銀行対策】経営者自身の個人信用情報を汚してはいけない理由とは?
1 個人信用情報はオフィシャルである
今日は、中小企業経営者の個人信用情報について考えます。
みなさん、意外に思われるかもしれませんが、会社の信用情報としては、オフィシャルなものはありません。
帝国データバンクや東京商工リサーチ等の民間信用調査会社が100点満点で評点をつけて会社の信用情報を販売していますが(因みに、金融機関は手形割引の銘柄の信用判断材料や新規融資開拓に際して信用情報を参照していますが、あくまでも「参考程度」です)、所詮は民間のもので、アンオフィシャルです。
ところが、個人信用情報は、そういうわけにはいきません。
銀行系、信販系、消費者金融系と3つの信用情報機関が存在していて、ホワイト情報とブラック情報を相互に交換しています。
それぞれの信用情報機関は、その業界各社から出資を受けて厳格に運用されていて、信頼性は極めて高いと言えます。
コシンの中身としては、例えば、クレジットカードの引き落としができなかったり、ローンの返済が延滞したりすると、ブラック情報としてコシンに載ってしまいます。
意外な落とし穴が、携帯電話の割賦販売です。
たかだか、携帯なんだからと甘く見て支払に事故があると、一撃でブラックになってしまいます。
銀行で住宅ローンを組む時、クレジットカードを作る時などの審査時に、金融機関、信販会社や消費者金融業者は必ず、個人信用情報(通称、「個信」、「コシン」と言います)を参照しています。
いかに、金融機関等といっても、勝手にコシンを入手はできないので、ローンやクレジットカードの申込書の一角に、小さな字で「コシンを参照してもらっても構いません」という具合の一文がちゃっかり記載されています。
ブラック情報は概ね5年程度載ってしまうので、一度ブラックに載ってしまうと、その期間は、住宅ローンやクルマのローンが組めず、クレジットカードも作れなくなる可能性が極めて高くなります。。
ずいぶん前ですが、ナニワ金融道で街金の営業マンの灰原君の物語が流行りました。
先輩社員から「はよ、コシン、叩いてみろや」と言われた灰原君がコシンの端末を操作したらレシートみたいな紙切れがジュジュジュって出てきて、「わー、こいつ、こんなにつまんでますわ!」といって、融資を見送るという場面がありましたが、まさに、アレです。
コシンはオフィシャルなもので、甘く見てはいけません。
2 経営者の「コシン」は、会社の信用をも左右する
さて、ここまでは一般個人の方のお話で、次に中小企業経営者にとっての個人信用情報について考えます。
中小企業経営者なので、何かと金融機関の担当者からお願い事をされます。
時期も時期、年度末の3月ということもあり、担当者から「社長、すみませんが、ゴールド、クレジットカード、1年だけ付き合いして下さい」といって無茶振りをされたりするシーズンです。
万が一にも、中小企業経営者のコシンが汚れていれば、銀行系列のクレジットカード会社から担当者にコシンが汚れている旨の連絡が入ってしまいます。
金融機関側からの「お願い」でクレジットカードに付き合ったにもかかわらず、経営者自身のコシンが汚れてしまっていることが金融機関に知れ渡ってしまいます。
だからと言って、すぐに連帯保証人として欠格になるというわけではありませんし、金融機関営業店が営業店の推進の都合として系列信販会社を押し切ってしまうかもしれませんが、担当者としては間違いなく、「あの社長にはきいつけとかなあかん」となって、担当者交代時にも次の担当者にネガティブ情報として引き継がれてしまいます。
いくら会社の財務体質に問題がなくても、会社の信用にも関わってくるようなことになりかねません。
このように、中小企業経営者のコシンの状態は、会社の信用にも影響を与えます。
中小企業経営者の中で、「そういえば、3年くらい前、一回クレジットの引き落とし忘れてて落ちへんかったことがあったかもしれん」と身に覚えがあるようなら、まず、自身のコシンの状態を把握する必要があります。
自分自身のコシンは、数百円から千円程度の手数料を払えば信用情報機関から開示してもらえます。
ネット経由でも、郵送でも、信用情報機関への直接訪問によってでも、自身の信用情報を手に入れることができます。
自身のコシンに「移動」という表示があれば一発アウトです。
このように、中小企業経営者は、会社の財務体質強化に取り組むのは当然として、間違っても自分自身のコシンを汚すようなことがあってはならないのです。