【中小企業の銀行対策】メインバンクからの期末の「お願い事」を無下に断ってはいけない理由とは?

1 「お願い事」が年度末となる背景とは?

金融機関はほぼ全て3月決算となっています。
メガバンクから信金信組に至るまで、3月末を決算期で揃える必要はないように感じますが、監督官庁の金融庁や財務省地方財務局のご意向もあってか、はたまた護送船団方式の名残か、各金融機関はきれいに3月決算です。
金融機関といっても、組織を構成するのは所詮生身の人間なので、期末の追い込みによって担当者皆が危機感を持って、個々のノルマ達成に向けて一気加勢にやってしまえ!というのが本当のところかもしれません。
今時の金融機関担当者のノルマ(目標ともいう)は、単に、預金や貸金の末残、平残だけではなく、クレジットカードのゴールド然り、系列シンクタンクの会員契約であったり、投信、保険と多種多様に渡ります。
そうなると、ついつい「あの、社長、ちょっとお願い事なんですけど・・・」と切り出さねばならない所謂「雑もの」と呼ばれる商品は後回しになってしまいがちです。
担当者としても、「ゴールドカード、1年間だけで構わないのでなんとかお願いできませんでしょうか」なんて頼み込むこと自体、嫌で嫌で仕方がありません。
頼まれる側の中小企業経営者も法人カードも個人のカードも一通りゴールドカードにしていて、「カードはもう要らん」というのが本音です。
このような不毛なやり取りが年度末に集中するわけで、それ故、「お願い事」が年度末になってしまうわけです。

2 自社としてどこまで「お付き合い」すべきなのか?、「お付き合い」できるのか?

そういう具合なので、この季節になると、中小企業経営者から「また、担当の奴が、ゴールドカード頼むて言うてきたけど、どうしたもんかな?」と愚痴が飛んでくるので、北出はこのような場合には「なるべくお付き合いしてやって下さい」と答えています。
とはいえ、例えば、支店長経営者で役職定年になった方を出向者で受け入れてもらえないだろうか、と言うことになると次元が変わります。
人件費は銀行と折半としても、どう見積もっても年間4〜5百万円程度の人件費増となってしまいます。
正直なところ、支店長経験者といっても、格別素晴らしいビジネススキルを持っておられる方の方が少数なので、会社として即戦力としてバリバリやってもらえるかといえば大いに疑問符がつきます。
銀行対策で銀行に恩を売る位の覚悟が必要なわけで、そこまでいくとおいそれと「はい、わかりました」というわけにもいきません。
しかし、ゴールドカード然り、系列シンクタンクの会員料ならおそらく年間2,3万円の世界です。
お客様と飲みに行ったり、ゴルフに行ったら、その位では済まない世界だと思われるので、接待交際費的な位置付けで、会社としてここまでならお付き合いOKという具合に中小企業経営者としてお願い事への限度額を決めておいて、その範囲内ならばお付き合いするというのが無難です。
中小企業経営者の皆さん、金融機関担当者も期末を控えて大変ですが、自社でできるところ、できないところをきっちりと線引きして会社としての方針を明確にしておく必要があるのです。

【中小企業の銀行対策】「債務償還年数」を10年程度にしなければならない理由とは?も併せてご一読下さい。

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