【中小企業経営者の豆知識】定昇とベアの違いを知っておくべき理由とは?

1 今年の春闘はちょっと違和感がある

2023年の春闘も大詰めです。
北出は、別に労務の専門家ではないのですが、春闘のシーズンになると新聞やテレビを賑わす「定期昇給」と「ベースアップ」について今日は考えてみることにします。
北出は、サラリーマン時代、人並みに労組の組合員でしたが、会社をやめてやがて14年が経過すると、春闘と言っても対岸の火事にしか感じられません。
労組があるような中堅企業ならいざ知らず、中小企業経営者の多くは、春闘といっても、あまり実感が沸かないというのが本音なのではないでしょうか。
そんな、中小企業経営者からしても、今年の春闘で叫ばれているのが、やたらと「賃上げ」です。
しかも、政労使挙げた賃上げ騒動で、まるで「官制賃上げ」のような勢いで、違和感さえ感じます。
組合を代表する連合が騒ぐのはわかるし、物価高への対応策の一つとして政府が動くのもわかりますが、経団連をはじめとした経済団体もが「賃上げ、賃上げ」です。
ユニクロのファーストリテイリングを始め、大手企業は定期昇給に加えて、ベースアップもと大盤振る舞いです。
「従業員へ報いるのは、賞与」というちょっと前の大企業経営者とは大違いです。
今年の春闘を賑わすキーワードである「定期昇給」と「ベースアップ」、中小企業経営者のみなさん、この違いを説明できるでしょうか?

「定期昇給」と「ベースアップ」の違いをわかりやすく説明します

「定期昇給」と「ベースアップ」の違いをわかりやすく説明するため、給料の決まり方は100%年齢給で、成果給や職能給といった業績給的な要素が全く超簡単な賃金テーブルをモデルにします。
上の賃金テーブルの例をご覧下さい。
ベースアップがなく、定期昇給のみの賃上げの場合、35歳の正社員のお給料は年齢給340千円でしたが、1年歳を取ったので、年齢給346千円となり、この場合、定期昇給のみ6千円の賃上げ実現となります。
一方、ベースアップが実現された結果、下のような賃金テーブルに変更された場合、35歳の正社員のお給料340千円に対して、ベースアップ分「353千円ー346千円=7千円」に加えて定期昇給分6千円、ベアと定昇合計13千円の賃上げとなるという具合です。
つまり、ベースアップは即ち、賃金テーブル(賃金表)を書き換えることで、定昇給は何もせずに自然に上がることを言います。
ベースアップは、掛けられる数が増えるので、賞与アップにも直結します。
言葉の通り、ベースが上がるということで、賃金アップにはベースアップはかなり効果的です。
他方、ほとんどの中小企業の場合、賃金テーブルなるものが存在しません。
なんとなく、個別に賃金が決まっていて、個々人の等級号俸、職能などが明確化されていません。
賃金テーブルがないため、給料計算をなかなかオーナー一族以外の社員に任せることができずにいます。
賃金テーブルがなく、なんとなく、賃金が決まっていると、「なんや、あの人、ろくに仕事もできへんのに、こんなに貰ってるんや!」と社内の諍いの種になりかねません。
中小企業が個人商店のレベルを脱して、社会の公器になるためにも、全社員に共通した賃金テーブルを運用しながら、開かれた公平公正な人事評価を行っていく必要があります。
また一方では、原材料高である一方、お客様への価格転嫁ができない多くの中小企業経営者からすると、「賃上げなんてとんでもない」となってしまいます。
また、対金融機関にも「社長、人件費、もっと下げられへんのですか?」などといった眠たい小言を言われないためにも、儲かる会社にしていかなければなりません。
難しいことばかりですが、中小企業経営者は、賃上げを実現し、次世代に残せる会社を創造するためにも、業種、業態を問わず、お客様にしっかりと満足して頂くことで、価格競争に巻き込まれることなく、しっかりと利益を取れるようなビジネスモデルに転換していく必要があるのです。

【中小企業の銀行対策】メインバンク担当者を味方に引き入れておく必要性とは?も併せてご一読下さい。

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