【中小企業の銀行対策】総合振込は必ずメインバンクで行わなければならない理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、総合振込は必ずメインバンクで行わなければならない理由について考えます。

今日の論点は以下の2点。

1 総合振込は金融機関にとって重要な取引である
2 今一度、メインバンクを明確にする

どうぞご一読下さい。

1 総合振込は金融機関にとって重要な取引である

7月もまもなく終わり。
月末近くということで、今日は金融機関の総合振込について考えます。

多くの中小企業で、支払日を月末としています。
仕入先や諸経費の支払を、総合振込にしているのが普通です。
総合振込の登録を一営業日前としている金融機関が多いようですが、支払日当日に総合振込を利用できる金融機関もあります。

総合振込は、金融機関にとっては重要な取引の一つです。
昔は、総合振込は紙ベースで、振込先の会社名、振込先の金融機関と支店、預金種別、金額を記入して金融機関に持ち込んでいましたが、今はネットバンキングを使えるので、随分経理の負担が軽くなっています。
総合振込に際しては、少なくとも、総合振込の登録の前には流動性預金(当座預金や普通預金)に資金を用意する必要があります。
流動性預金、中でも当座預金は利息がつかないので、金融機関にとっては調達コストゼロの資金であるため、当座預金の平残(平均残高)を重要視します。
更には、振込手数料が金融機関に入るので、総合振込は金融機関にとっては、役務収益を得られる重要な取引です。

中小企業の側も、金融機関が総合振込を重要視していることを認識して、経理部門にもその旨周知する必要があります。

2 今一度、メインバンクを明確にする

さて、そんな総合振込ですが、ほとんどの中小企業がメインバンクで総合振込を行っているはずです。
他方、特に成長期の会社の場合、設備資金を複数の金融機関から調達していると、元々のメインバンクよりも後から取引を開始した他行の方の方が借入残高を上回るようになってしまうことは珍しくありません。
元々のメインバンクからすると、「ふ〜ん、この前の設備資金、他行でやってもらったんやから、うちはもうメインやないね」となりますし、借入残高だけが逆転した他行からすると、「月末近くになるとうちの流動性預金からメインさんへ資金移動していて、総合振込もそっちでやっているから、うちはサブ行やね」となってしまいます。
このようなケースは決して望ましくありませんし、もしかすると平常時には特に問題が顕在化することはないかもしれません。
しかしながら、例えば、新型コロナウイルス感染拡大期のような非常事態には、メインバンクが明確でないと、どこも「うちはメインやないから」と積極的に支えてくれなくなる可能性が捨てきれません。

ちなみに申しますと、設備資金や増加運転資金を政府系金融機関から調達する分には、メインバンクは何も言いません。
競合他行に流動性の資金が流出すると、メインバンクはヘソを曲げてしまいます。

このように、メインバンクは、借入残高の大小だけで決まりません。
メインバンクとの良好な関係構築には、事業承継後の安定的な事業運営にも欠かせません。

中小企業経営者は、メインバンクをきっちりと決めて、メインバンクと「御行が当社のメインバンクですから、これから何かとお願いしますよ」という具合に握っておく必要があるのです。

【中小企業の銀行対策】「銀行嫌い」が経営者失格である理由とは?も併せてご一読下さい。

公式サイト「次世代に残せる老舗企業の創造」もご覧下さい。

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