【中小企業経営者の心得】大口得意先への依存度を下げなければならない理由とは?
今日は、中小企業経営者の心得として、大口得意先への依存度を下げなければならない理由について考えます。
今日の論点は以下の2点。
1 大口得意先との関係が拗れると事業継続に支障が出る
2 大口得意先の言いなりになってしまう
どうぞご一読下さい。
1 大口得意先との関係が拗れるリスクはあまりにもデカい
大口得意先は、中小企業経営者とすると営業上、大変ありがたい存在です。
これまでの取引関係から大口得意先とは謂わば阿吽の呼吸といったところで、ドドーンと売上を稼ぐことができます。
小口得意先を相手にしていると、時間も手間も、経費もかかってしまうので、特に、営業サイド、経営側からすると、「大口得意先様やから、くれぐれも粗相のないように」という具合にしっかりと忖度するところです。
ところが、盤石なはずの大口得意先との関係が拗れるリスクはあまりにもデカいことは一方のリスクです。
もしも、万が一、大口得意先の業況が悪化したり、経営方針が一変して、仕入先や外注先を見直したり、受注単価の切り下げを迫られることも想定されます。
かつて、大手メーカーが国内生産に見切りをつけて、一気に中国へ生産現場をシフトさせたことによって、倒産や廃業に追い込まれた部品メーカーも存在します。
このようなリスク回避は、金融機関でも同様に行われています。
大口融資先や特定の業種への大口融資には慎重であることが行政からも指導されます。
それが仮に自動車メーカー、トヨタ自動車であっても、同様です。
現に、絶対大丈夫なはずであったトヨタ自動車でさえ、電動化に乗り遅れた感は否めず、日本の自動車輸出が中国に追い抜かれる事態にもなっています。
金融機関でもそのようなリスク回避に配慮しているのですから、大口得意先との関係が拗れるリスクは中小企業にとってはあまりにもデカくて、他でヘッジできないリスクです。
大口得意先に依存するのは、中小企業にとって、ギャンブル以外の何者でもないのです。
2 大口得意先の言いなりになってしまう
中小企業にとって大口得意先への依存度が高い最大のリスクは、大口得意先の言いなりになってしまうことです。
理想的には、大口得意先への依存度は最大で10%以下、50%以上となれば、大口得意先からのいかなる申し出も断ることは難しくなります。
「えー、そうですか。その条件はのめないと。それなら、少し他社さんに相談してみます」と言われた時には、「いやいや、そうおっしゃらずに。こちらで何とかさせて下さい」と低姿勢を貫くしかありません。
「独禁法にかかるのでは・・・」と中小企業側としては言いたいところですが、流石に50%の売上を失ってしまうということになれば、資金繰り悪化に直結ししてしまうので、ここはグッと歯を食いしばるしかありません。
下手をすると、大口得意先とその担当者との間で癒着が生まれてしまって、公正な取引に支障が出かねません。
このように、大口得意先に支配的なポジションを占められてしまうと、取引条件は丸呑みとなってしまいます。
それでは、売上はたてど、薄利を強いられ、いつまで経っても低収益体質からの脱却はできません。
中小企業経営者は、確かに、魅力的な大口得意先であるけれど、日頃から、顧客の小口分散に注力すると共に、新規顧客の開拓により顧客の絶対数を増やして、大口得意先依存の営業体質にメスを入れる必要があるのです。